April 24, 2008 Vol. 358 No. 17
左冠動脈主幹部病変に対するステント留置術と冠動脈バイパス術の比較
Stents versus Coronary-Artery Bypass Grafting for Left Main Coronary Artery Disease
K.B. Seung and Others
冠動脈ステント留置術と冠動脈バイパス術(CABG)の治療効果については,これまでに複数の研究で比較されている.しかし,非保護左冠動脈主幹部病変の患者を対象とした,これら 2 つの介入の長期転帰に関するデータは限られている.
韓国において,2000 年 1 月~2006 年 6 月に非保護左冠動脈主幹部病変に対しステント留置術を受けた患者 1,102 例と,CABG を受けた患者 1,138 例を評価した.コホート全体と,ステントの種類で分類したサブグループにおいて,傾向スコアマッチングを用いて有害転帰(死亡,死亡・Q 波心筋梗塞・脳卒中の複合転帰,標的血管の血行再建術)を比較した.
マッチさせたコホート全体では,ステント留置群と CABG 群のあいだで,死亡リスク(ステント留置群のハザード比 1.18,95%信頼区間 [CI] 0.77~1.80),複合転帰のリスク(ステント留置群のハザード比 1.10,95% CI 0.75~1.62)に有意差は認められなかった.標的血管の血行再建術施行率は,ステント留置群のほうが CABG 群よりも有意に高かった(ハザード比 4.76,95% CI 2.80~8.11).ベアメタルステント群と CABG 群,薬剤溶出ステント群と CABG 群を比較した結果は同等であったが,薬剤溶出ステント群では死亡率および複合エンドポイントの発生率がより高い傾向がみられた.
非保護左冠動脈主幹部病変の患者コホートにおいて,ステント留置術を受けた患者と CABG を受けた患者のあいだで,死亡率,および死亡・Q 波心筋梗塞・脳卒中の複合エンドポイントの発生率に有意差はみられなかった.しかし,ステント留置術は,薬剤溶出ステントを用いても,標的血管の血行再建術の施行率が CABG よりも高いことと関連していた.
本論文(10.1056/NEJMoa0801441)は,2008 年 3 月 31 日に www.nejm.org で発表された.