重度の慢性便秘に対するプルカロプリドのプラセボ対照試験
A Placebo-Controlled Trial of Prucalopride for Severe Chronic Constipation
M. Camilleri and Others
この 12 週間の試験は,重度の慢性便秘患者を対象に,選択的高親和性 5-ヒドロキシトリプタミン4 受容体作動薬プルカロプリド(prucalopride)の有効性を明らかにすることを目的として行われた.
多施設共同無作為化プラセボ対照並行群間第 3 相試験において,重度の慢性便秘(自発的な完全排便が週 2 回以下)の患者を対象に,12 週にわたって 1 日 1 回,プラセボ,プルカロプリド 2 mg,プルカロプリド 4 mg のいずれかを投与した.主要有効性エンドポイントは,自発的な完全排便が 12 週間で平均週 3 回以上あった患者の割合とした.副次的有効性エンドポイントは,患者が記入した日誌および妥当性の証明されている質問票から得た.有害事象,臨床検査値,心血管作用をモニタリングした.
620 例の患者で有効性を分析した.自発的な完全排便が週 3 回以上あった患者の割合は,プルカロプリド 2 mg 群で 30.9%,プルカロプリド 4 mg 群で 28.4%であったのに対し,プラセボ群では 12.0%であった(両比較について P<0.001).12 週間で,自発的な完全排便はプルカロプリド 2 mg 群の 47.3%とプルカロプリド 4 mg 群の 46.6%で平均週 1 回以上増加したのに対し,プラセボ群では 25.8%であった(両比較について P<0.001).12 週の時点で,排便機能と治療に対する患者の満足度や,便秘症状の主観的な重症度などほかのすべての副次的有効性エンドポイントが,プルカロプリド 2 mg または 4 mg により,プラセボと比較して有意に改善した.治療に関連した有害事象で頻度がもっとも高かったのは,頭痛と腹痛であった.治療による重大な心血管作用はなかった.
12 週間で,プルカロプリドにより重度の慢性便秘患者の排便機能が有意に改善し,症状の重症度が低下した.プルカロプリドを慢性便秘に対して使用した際のリスクと利益をさらに評価するには,より大規模で長期の試験が必要である.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00483886)