February 14, 2008 Vol. 358 No. 7
16p11.2 における微小欠失・微小重複と自閉症との関連
Association between Microdeletion and Microduplication at 16p11.2 and Autism
L.A. Weiss and Others
自閉症スペクトラム障害は,染色体異常が関与すると考えられている遺伝性の発達障害である.
自閉症遺伝資源交換(Autism Genetic Resource Exchange;AGRE)に登録された家族を対象としたゲノムワイド関連研究の第一段階として,2 つの新規アルゴリズムを用いて,751 の自閉症多発家系の遺伝子型データにおいてコピー数多型の再発を検索した.さらに,ボストン小児病院(Children's Hospital Boston)の臨床検査データと,アイスランドにおける住民ベースの大規模研究において,特定の新規イベントの再発を評価した.
AGRE に登録された家族において,染色体 16p11.2 上の 593 kb の新規欠失が 5 例で観察された.比較ゲノムハイブリダイゼーション(comparative genomic hybridization;CGH)法を用いたところ,発達遅延,精神遅滞,自閉症スペクトラム障害の疑いのいずれかでボストン小児病院に紹介された小児 512 例中 5 例と,アイスランド住民の自閉症患者 299 例中 3 例で同一の欠失が観察された.この欠失は,アイスランドのスクリーニングを受けなかった対照群 18,834 例中 2 例でも確認された.AGRE 登録家族の罹患者 7 例とボストン小児病院の小児 512 例中 4 例では,この領域に相互重複が発生していた.重複もまた,浸透度の高い危険因子であると考えられた.
自閉症に対してかなりの感受性を有し,症例の約 1%を占めると考えられる新規の微小欠失の再発と相互重複を同定した.そのほかに,新規の大きな変異が同様に集積する領域は同定されなかった.
本論文(10.1056/NEJMoa075974)は,2008 年 1 月 9 日に www.nejm.org で発表された.