September 18, 2008 Vol. 359 No. 12
大腸内視鏡スクリーニングでの陰性所見後における結腸直腸腫瘍形成の 5 年リスク
Five-Year Risk of Colorectal Neoplasia after Negative Screening Colonoscopy
T.F. Imperiale and Others
大腸内視鏡検査で陰性が示されたあとの,内視鏡による再スクリーニングまでの適切な間隔は明らかにされていない.
ベースラインの大腸内視鏡スクリーニングでは腺腫が認められず,大腸内視鏡の追跡検査のため 5 年後に来院した男女を同定した.所見は,認められるもののうちでもっとも進行した病変に従い,次のいずれかに分類した;ポリープなし,過形成性ポリープ,直径 1 cm 未満の管状腺腫,進行腺腫(直径 1 cm 以上の管状腺腫,組織上絨毛の特性を有するポリープ,高度異形成のポリープ),癌.
ベースラインの大腸内視鏡スクリーニングでポリープが認められなかったのは 2,436 例であった.そのうち 1,256 例(51.6%)が平均(±SD)5.34±1.34 年後に再スクリーニングを受けた.この集団のベースラインの平均年齢は 56.7 歳であり,56.7%が男性であった.再スクリーニングで癌は発見されなかった(検出率の 95%信頼区間 [CI] 0~0.24%).201 例(16%)に 1 個以上の腺腫が認められた.16 例(1.3%)から検出された 19 個の進行腺腫のうち,10 個(52.6%)が左結腸曲の遠位にみられた.進行腺腫のリスクに関して,ベースラインにポリープが認められなかった参加者と高度異形成のポリープが認められた参加者のあいだで有意差は認められなかった(1.1% [1,057 例中 12 例],2.0% [199 例中 4 例];P=0.30).男性のほうが,女性に比べ,あらゆる腺腫(直径 1 cm 未満の管状腺腫または進行腺腫,相対リスク 1.88,95% CI 1.42~2.51)を有する確率と,進行腺腫(相対リスク 3.31,95% CI 1.02~10.8)を有する確率がともに高かった.
初回の大腸内視鏡スクリーニングで結腸直腸に腫瘍形成が認められなかった被験者では,結腸直腸癌の 5 年リスクはきわめて低い.進行腺腫のリスクも低いが,男性のほうが女性よりもそのリスクは高い.この研究結果から,大腸内視鏡検査で異常が認められなかった場合,再スクリーニングまでの間隔は 5 年以上であることが支持される.