September 18, 2008 Vol. 359 No. 12
脳卒中の再発に対するアスピリン+徐放性ジピリダモールとクロピドグレルの比較
Aspirin and Extended-Release Dipyridamole versus Clopidogrel for Recurrent Stroke
R.L. Sacco and Others
脳卒中の再発は,虚血性脳卒中後にしばしばみられる,障害をきたすイベントである.この試験では,2 つの抗血小板療法,アスピリン+徐放性ジピリダモール(ASA–ERDP)とクロピドグレルの,有効性と安全性を比較した.
この 2×2 要因デザインの二重盲検試験では,患者を,アスピリン 25 mg+徐放性ジピリダモール 200 mg を 1 日 2 回投与する群と,クロピドグレル 75 mg を連日投与する群に無作為に割り付けた.主要転帰は脳卒中の初回再発とした.副次的転帰は,脳卒中,心筋梗塞,血管系の原因による死亡の複合とした.非劣性の逐次統計検定(非劣性マージン 1.075)と,その後の優越性検定を計画した.
計 20,332 例を平均 2.5 年間追跡した.脳卒中の再発は,ASA–ERDP 群の 916 例(9.0%)と,クロピドグレル群の 898 例(8.8%)でみられた(ハザード比 1.01,95%信頼区間 [CI] 0.92~1.11).副次的転帰は,各群とも 1,333 例(13.1%)で発生した(ASA–ERDP に対するハザード比 0.99,95% CI 0.92~1.07).頭蓋内出血(ハザード比 1.42,95% CI 1.11~1.83)をはじめとする大出血イベントの頻度は,ASA–ERDP 群(419 例 [4.1%])のほうが,クロピドグレル群(365 例 [3.6%])よりも高かった(ハザード比 1.15,95% CI 1.00~1.32).脳卒中の再発または大出血イベントの正味のリスクは,両群で同程度であった(ASA–ERDP 群 1,194 例 [11.7%] 対 クロピドグレル群 1,156 例 [11.4%],ハザード比 1.03,95% CI 0.95~1.11).
この試験では,事前に規定した非劣性基準を満たさなかったが,脳卒中の再発率は ASA–ERDP 群とクロピドグレル群で同等であることが示された.脳卒中の再発を予防するうえで,この 2 つの治療法のどちらかがより優れているということを示すエビデンスはない.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00153062)
本論文(10.1056/NEJMoa0805002)は,2008 年 8 月 27 日に www.nejm.org で発表された.