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December 11, 2008 Vol. 359 No. 24

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リンチ症候群の大腸腫瘍に対するアスピリンと難消化性でんぷんの効果の比較
Effect of Aspirin or Resistant Starch on Colorectal Neoplasia in the Lynch Syndrome

J. Burn and Others

背景

観察データと疫学データから,アスピリンの使用により大腸腫瘍のリスクが低下することが示されているが,リンチ症候群(遺伝性非ポリポーシス大腸癌)に対するアスピリンの効果は明らかにされていない.難消化性でんぷんは,大腸における抗腫瘍効果との関連が示されている.

方 法

無作為化プラセボ対照試験において,アスピリン 600 mg/日投与と難消化性でんぷん(Novelose)30 g/日投与に,リンチ症候群患者の腺腫と癌のリスクを低下させる効果があるかどうかを 2×2 要因デザインを用いて検討した.

結 果

43 施設の 1,071 例のうち,62 例は試験に不適格で,72 例は試験に参加せず,191 例は試験を中止した.これらの分布は群間で均一であった.平均 29 ヵ月(7~74 ヵ月)の期間中に,141 例で大腸腺腫または大腸癌が発症した.アスピリンまたはプラセボを含む群に無作為に割り付けられた 693 例では,アスピリン投与を受けた 66 例(18.9%),プラセボ投与を受けた 65 例(19.0%)に腫瘍が発生した(相対リスク 1.0,95%信頼区間 [CI] 0.7~1.4).進行腫瘍の発生について群間に有意差はみられなかった(7.4% 対 9.9%,P=0.33).難消化性でんぷんまたはプラセボを含む群に割り付けられた 727 例では,難消化性でんぷん投与を受けた 67 例(18.7%),プラセボ投与を受けた 68 例(18.4%)に腫瘍が発生した(相対リスク 1.0,95% CI 0.7~1.4).進行腺腫と大腸癌の分布は,アスピリン-プラセボ,難消化性でんぷん-プラセボの両群で均一であった.重篤な有害事象の頻度は低く,その分布は均一であった.

結 論

リンチ症候群患者において,アスピリンまたは難消化性でんぷん,あるいはその両方を最長 4 年間使用しても,大腸腺腫および大腸癌の発生に対する効果はみられなかった.(Current Controlled Trials 番号:ISRCTN59521990)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2008; 359 : 2567 - 78. )