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September 4, 2008 Vol. 359 No. 10

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心不全に対する除細動器治療とアミオダロン療法での QOL の比較
Quality of Life with Defibrillator Therapy or Amiodarone in Heart Failure

D.B. Mark and Others

背景

植込み型除細動器(implantable cardioverter-defibrillator:ICD)治療は,左室機能低下による突然死のリスクが高い患者の生存期間を有意に延長させる.しかし,このように生存期間を延長させることで,QOL が低下するのかどうかは明らかではない.

方 法

無作為化試験において,左室機能の低下した安定心不全患者 2,521 例を対象に,ICD 治療と,アミオダロンを用いた最新の薬物療法を比較した.ベースラインおよび 3 ヵ月,12 ヵ月,30 ヵ月の時点で QOL を前向きに評価した.適格例の 93~98%のデータを収集することができた.心臓に関連した身体機能を評価するための Duke 活動状態指標(Duke Activity Status Index)と,精神的健康度を評価するための 36 項目の健康調査票(Medical Outcomes Study 36-Item Short-Form)の心の健康の下位尺度(Mental Health Inventory 5)を主要転帰として事前に規定した.その他複数の QOL 転帰についても検討した.

結 果

精神的健康度は,3 ヵ月(P=0.01)と 12 ヵ月(P=0.003)の時点では,ICD 群のほうが薬物療法群に比べ有意な改善を示したが,30 ヵ月の時点では有意差は認められなかった.身体機能には,2 群間で臨床的に重要な差や統計学的に有意な差はみられなかった.その他の QOL 指標には,ICD 群では 3 ヵ月,12 ヵ月,あるいはその両方で改善がみられたが,30 ヵ月の時点では有意差は認められなかった.予定された評価の前月に作動した ICD の電気ショックは,複数領域の QOL の低下と関連していた.アミオダロン群では QOL の主要転帰への有意な影響はみられなかった.

結 論

中等度の症候性心不全を有する大規模な一次予防集団において,リード線 1 本の ICD を用いた治療では,30 ヵ月間の追跡期間中に QOL への有害な影響は認められなかった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2008; 359 : 999 - 1008. )