March 19, 2009 Vol. 360 No. 12
サイトメガロウイルス母体感染のワクチンによる予防
Vaccine Prevention of Maternal Cytomegalovirus Infection
R.F. Pass and Others
先天性サイトメガロウイルス(CMV)感染症は,新生児の聴覚障害,認知機能障害,運動障害の重要な原因である.
無作為化二重盲検プラセボ対照第 2 相試験で,MF59 アジュバントを添加した組換え CMV のエンベロープ糖蛋白 B から成るワクチンとプラセボを比較した.出産後 1 年以内の CMV 血清陰性の女性に対し,0 ヵ月,1 ヵ月,6 ヵ月の 3 回の時点で CMV ワクチンまたはプラセボの投与を行った.糖蛋白 B 以外の CMV 蛋白に対する IgG 抗体を測定する検査法を用いて,3 ヵ月ごとに 42 ヵ月間,女性の CMV 感染を検査した.感染の確認は,ウイルス培養または免疫ブロット法により行った.主要エンドポイントは,CMV 感染が確認されるまでの期間とした.
234 人を CMV ワクチン群に,230 人をプラセボ群に無作為に割り付けた.予定していた中間解析でワクチンの有効性が確認されたため,中止勧告が出された.最短で 1 年の追跡調査後,49 例の感染が確認された.内訳はワクチン群 18 例,プラセボ群 31 例であった.Kaplan–Meier 解析から,ワクチン群では,プラセボ群に比べ 42 ヵ月間ウイルス非感染状態を維持する割合が高いことが示された(P=0.02).100 人年あたりの感染率に基づくワクチンの有効性は 50%(95%信頼区間 7~73)であった.対象女性の乳児における先天性 CMV 感染症は,ワクチン群 1 例,プラセボ群 3 例に認められた.局所反応(疼痛,紅斑,硬結,熱感)と全身反応(悪寒,関節痛,筋肉痛)は,ワクチン群でプラセボ群よりも多くみられた.
CMV の糖蛋白 B ワクチンにより,母体の CMV 感染と先天性 CMV 感染症が減少する可能性がある.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00125502)