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January 8, 2009 Vol. 360 No. 2

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中国における日本住血吸虫の伝播拡大防止策
A Strategy to Control Transmission of Schistosoma japonicum in China

L.-D. Wang and Others

背景

日本住血吸虫(Schistosoma japonicum)は,ヒト,家畜,巻貝に感染症を引き起こすため,中国では疾病の重大な原因となっている.

方 法

ヒトと畜牛への年 1 回の同時化学療法がルーチンに行われている江西省南東部の鄱陽湖周辺の 2 つの介入村と 2 つの対照村において,包括的な拡大防止策の評価を行った.2005~07 年に実施された新たな介入は,巻貝が生息する草地からの畜牛の追出し,農民への農耕機械の支給,水道・トイレの設置による衛生設備の改善,船への糞便容器の支給,強化健康教育プログラムの導入などであった.介入期間中に,S. japonicum のヒトへの感染の変化を観察し,巻貝への感染率を評価し,マウスに対する湖水の感染性を調査した.

結 果

3 回の流行期のあとに,介入村ではヒトへの感染率が 1.0%未満に低下した.すなわち,1 つの村では 11.3%から 0.7%に,もう 1 つの村では 4.0%から 0.9%に低下した(ともに P<0.001).対照村では,ヒトへの感染率に変動はみられたもののベースラインの水準にとどまっていた.介入村において,感染した巻貝が採取される場所の割合は,1 つの草地地域では 2.2%から 0.1%に低下し,もう 1 つの草地地域では 0.3%から感染なしに低下した(ともに P<0.001).湖水に曝露したマウスの感染率は,79%から感染なしに低下した(P<0.001).

結 論

畜牛・ヒトから巻貝への S. japonicum 感染の伝播率を低下させるための介入を基本とした,包括的な拡大防止策の有効性は非常に高かった.これらの介入は,中国では住血吸虫症の制御のための国家的戦略として採用されるようになった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2009; 360 : 121 - 8. )