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June 4, 2009 Vol. 360 No. 23

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米国への移民・難民に対する国外での結核スクリーニング
Overseas Screening for Tuberculosis in U.S.-Bound Immigrants and Refugees

Y. Liu and Others

背景

2007 年に米国で新たに結核と診断された 13,293 例のうち,57.8%が外国出身者であり,外国出身者の結核発症率は米国出身者の 9.8 倍である(10 万人あたり 20.6 例 対 2.1 例).諸外国からの年間約 40 万人の移民と 5万~7 万人の難民は,米国在住の外国出身者の結核負担に大きく寄与していると考えられる.

方 法

米国疾病対策予防センター(CDC)は,米国への移民・難民における米国外での結核スクリーニングと入国後の追跡評価に関する情報を収集している.われわれは,CDC のスクリーニングと追跡評価のデータを分析し,これらの集団における結核疫学を調査した.

結 果

1999~2005 年の期間において,米国への移民 2,714,223 人では,米国外で行われた医学的スクリーニングにより,塗抹陰性結核患者 26,075 例(胸部 X 線で活動性結核が示唆されたが,喀痰塗抹標本が 3 日間連続で抗酸菌陰性の患者),非活動性結核患者 22,716 例(胸部 X 線で結核が示唆されたが,臨床的活動性がみられなくなった患者)が診断され,有病率はそれぞれ 10 万人あたり 961 例(95%信頼区間 [CI] 949~973),837 例(95% CI 826~848)であった.米国への難民 378,506 人では,塗抹陰性結核患者 3,923 例,非活動性結核患者 10,743 例が診断され,有病率はそれぞれ 10 万人あたり 1,036 例(95% CI 1,004~1,068),2,838 例(95% CI 2,785~2,891)であった.米国内で活動性肺結核と診断された移民・難民は,国外で塗抹陰性結核と診断された患者の 7.0%,非活動性結核と診断された患者の 1.6%であった.

結 論

米国外での結核スクリーニングと入国後の追跡評価は,移民・難民における結核の同定にきわめて有効な介入法であり,米国在住の外国出身者における結核患者数を減少させる可能性がある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2009; 360 : 2406 - 15. )