The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

June 4, 2009 Vol. 360 No. 23

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

クリオピリン関連周期性症候群に対するカナキヌマブの使用
Use of Canakinumab in the Cryopyrin-Associated Periodic Syndrome

H.J. Lachmann and Others

背景

クリオピリン関連周期性症候群(cryopyrin-associated periodic syndrome:CAPS)は,インターロイキン-1 の過剰産生を伴うまれな遺伝性炎症性疾患である.カナキヌマブ(canakinumab)はヒト抗インターロイキン-1β モノクローナル抗体である.

方 法

CAPS 患者を対象に,3 部構成の 48 週間にわたるカナキヌマブの二重盲検プラセボ対照無作為化治療中止試験を実施した.第 1 部で,35 例にカナキヌマブ 150 mg を皮下投与した.治療により完全寛解が得られた患者を,第 2 部でカナキヌマブ 150 mg 群またはプラセボ群に割り付け,8 週ごとに最長 24 週まで投与した.第 2 部終了あるいは再発した時点で第 3 部に移行し,カナキヌマブを 2 回以上投与した.治療の有効性は,疾患活動性スコアと,C 反応性蛋白(CRP)値・血清アミロイド A 蛋白(SAA)値の分析により評価した.

結 果

第 1 部でカナキヌマブにより完全寛解が得られたのは,35 例中 34 例(97%)であった.このうち 31 例を第 2 部に組み入れた.カナキヌマブ群に割り付けられた 15 例では全例で寛解が持続した.プラセボ群では 16 例中 13 例(81%)で疾患が再発した(P<0.001).第 2 部終了時,カナキヌマブ群の CRP 値と SAA 値の中央値は正常であったが(ともに 10 mg/L 未満),プラセボ群では上昇がみられた(それぞれ P<0.001,P=0.002).31 例全例が第 3 部へ進み,うち 28 例(90%)が寛解状態で第 3 部を終了した.第 2 部では,感染症が疑われた患者の割合はカナキヌマブ群のほうが高かった(P=0.03).カナキヌマブ投与中に重篤な有害事象が 2 件発生した.内訳は,尿路性敗血症 1 例,めまい 1 例であった.

結 論

CAPS 患者の大半では,8 週ごとのカナキヌマブの皮下投与により,症状の迅速な寛解が得られた.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00465985)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2009; 360 : 2416 - 25. )