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January 29, 2009 Vol. 360 No. 5

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世界の合併症発生率と死亡率を低下させるための手術安全性チェックリスト
A Surgical Safety Checklist to Reduce Morbidity and Mortality in a Global Population

A.B. Haynes and Others

背景

外科手術は,世界中で医療に不可欠なものとなり,年間で推定 2 億 3,400 万件施行されている.手術合併症の頻度は高いが,予防できるものも多い.われわれは,手術チームのコミュニケーションとケアの一貫性の向上を図るための 19 項目の手術安全性チェックリストを使用するプログラムにより,手術に関連した合併症と死亡が減少するという仮説を立てた.

方 法

2007 年 10 月~2008 年 9 月に,さまざまな経済環境と多様な患者集団を代表する 8 都市(カナダ・トロント,インド・ニューデリー,ヨルダン・アンマン,ニュージーランド・オークランド,フィリピン・マニラ,タンザニア・イファカラ,英国・ロンドン,米国・ワシントン州シアトル)の 8 病院が,世界保健機関(WHO)による「安全な手術が命を救う(Safe Surgery Saves Lives)」プログラムに参加した.心臓以外の手術を受けた 16 歳以上の患者 3,733 例を連続して登録し,臨床経過と転帰について前向きにデータを収集した.手術安全性チェックリストの導入後,患者 3,955 例を連続して登録し,データを収集した.主要エンドポイントは,術後 30 日以内における,死亡を含む入院中の合併症発生率とした.

結 果

死亡率は,チェックリスト導入前は 1.5%であったが,導入後には 0.8%に低下した(P=0.003).合併症は,ベースラインでは患者の 11.0%で発生したが,チェックリスト導入後は 7.0%に低下した(P<0.001).

結 論

チェックリストの導入により,さまざまな病院で,心臓以外の手術を受けた 16 歳以上の患者の死亡率と合併症発生率がともに低下した.

本論文(10.1056/NEJMsa0810119)は,2009 年 1 月 14 日に NEJM.org で発表された.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2009; 360 : 491 - 9. )