September 17, 2009 Vol. 361 No. 12
心房細動患者におけるダビガトランとワルファリンの比較
Dabigatran versus Warfarin in Patients with Atrial Fibrillation
S.J. Connolly and Others
ワルファリンにより,心房細動患者の脳卒中リスクは低下するが,出血リスクが上昇するため使い方がむずかしい.ダビガトラン(dabigatran)は,新規の経口直接トロンビン阻害薬である.
この非劣性試験では,心房細動で脳卒中リスクがある患者 18,113 例を,盲検下で固定用量のダビガトラン(110 mg または 150 mg を 1 日 2 回)を投与する群と,非盲検下で用量調節したワルファリンを投与する群に無作為に割り付けた.追跡期間中央値は 2.0 年であった.主要転帰は脳卒中または全身性塞栓症とした.
主要転帰の発生率は,ワルファリン群 1.69%/年であったのに対し,ダビガトラン 110 mg 群 1.53%/年(ダビガトラン使用の相対リスク 0.91,95%信頼区間 [CI] 0.74~1.11,非劣性の P<0.001),ダビガトラン 150 mg 群 1.11%/年(相対リスク 0.66,95% CI 0.53~0.82,優越性の P<0.001)であった.重大な出血の発生率は,ワルファリン群 3.36%/年であったのに対し,ダビガトラン 110 mg 群 2.71%/年(P=0.003),ダビガトラン 150 mg 群 3.11%/年(P=0.31)であった.脳出血の発生率は,ワルファリン群 0.38%/年であったのに対し,ダビガトラン 110 mg 群 0.12%/年(P<0.001),ダビガトラン 150 mg 群 0.10%/年(P<0.001)であった.死亡率は,ワルファリン群 4.13%/年であったのに対し,ダビガトラン 110 mg 群 3.75%/年(P=0.13),ダビガトラン 150 mg 群 3.64%/年(P=0.051)であった.
心房細動患者において,ダビガトラン 110 mg 投与に関連する脳卒中・全身性塞栓症の発生率はワルファリン投与と比較して同等であり,重大な出血の発生率はより低かった.ダビガトラン 150 mg の投与に関連する脳卒中・全身性塞栓症の発生率は,ワルファリン投与と比較して低かったが,重大な出血の発生率は同等であった.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00262600)