October 1, 2009 Vol. 361 No. 14
軽度の妊娠糖尿病に対する治療の多施設共同無作為化試験
A Multicenter, Randomized Trial of Treatment for Mild Gestational Diabetes
M.B. Landon and Others
軽度妊娠糖尿病に治療を行うことで,妊娠の転帰が改善されるかどうかは明らかでない.
妊娠 24~31 週で,軽度妊娠糖尿病の基準(経口ブドウ糖負荷試験で異常を認めるが,空腹時血糖値は 95 mg/dL [5.3 mmol/L] 未満)を満たす女性を,通常の出生前ケアを行う群(対照群)と,食事療法・血糖値の自己測定・必要に応じてインスリン治療を行う群(治療群)に無作為に割り付けた.主要転帰は,死産または周産期死亡と,高ビリルビン血症,低血糖症,高インスリン血症,分娩外傷を含む新生児合併症の複合転帰とした.
958 例のうち,485 例を治療群,473 例を対照群に無作為に割り付けた.複合転帰の頻度に両群間で有意差は認められなかった(治療群 32.4%,対照群 37.0%,P=0.14).周産期死亡はなかった.しかし,治療群では,対照群と比較して事前に規定した副次的転帰のうち,平均出生体重(3,302 g 対 3,408 g),新生児脂肪量(427 g 対 464 g),妊娠期間に比べて体重の重い新生児の割合(7.1% 対 14.5%),出生体重が 4,000 g を超える新生児の割合(5.9% 対 14.3%),肩甲難産の割合(1.5% 対 4.0%),帝王切開の割合(26.9% 対 33.8%)が有意に減少した.また,妊娠糖尿病に対する治療の実施は,通常ケアと比較して,妊娠高血圧腎症と妊娠高血圧の発症率低下にも関連していた(2 つの複合発症率 8.6% 対 13.6%,P=0.01).
軽度妊娠糖尿病に治療を行っても,死産や周産期死亡,新生児合併症を含む複合転帰の頻度に有意な低下はみられなかった.しかし,胎児の過成長,肩甲難産,帝王切開,高血圧性疾患のリスクは減少した.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00069576)