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October 15, 2009 Vol. 361 No. 16

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HIV 感染患者に対するインターロイキン-2 療法
Interleukin-2 Therapy in Patients with HIV Infection

The INSIGHT-ESPRIT Study Group and SILCAAT Scientific Committee

背景

抗ウイルス療法に組換え型インターロイキン(IL)-2 皮下投与を併用すると,抗ウイルス療法を単独で行う場合よりも CD4+細胞数が増加する.CD4+細胞数増加の臨床的意義は明らかではない.

方 法

低 CD4+細胞数の HIV 感染患者における高活性抗レトロウイルス療法下での組換え型ヒトインターロイキン-2 皮下投与(SILCAAT)試験と,プロロイキン皮下投与評価のための多国無作為化試験(ESPRIT)の 2 件の試験を実施した.それぞれ,ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染者で,CD4+細胞数 50~299 個/mm3 の患者(SILCAAT 試験),または 300 個/mm3 以上の患者(ESPRIT)を,IL-2 投与と抗レトロウイルス療法を併用する群と,抗レトロウイルス療法のみを行う群のいずれかに無作為に割り付けた.IL-2 レジメンは,8 週間隔で 5 日間連続投与を行うサイクルとし,SILCAAT 試験では 4,500,000 IU を 1 日 2 回 6 サイクル,ESPRIT では 7,500,000 IU を 1 日 2 回 3 サイクルを導入期間に投与した.CD4+細胞数を事前に設定した目標レベル以上に維持するため,サイクルの追加を推奨した.両試験の主要エンドポイントは日和見感染症またはあらゆる原因による死亡とした.

結 果

SILCAAT 試験では CD4+細胞数中央値 202 個/mm3 の患者 1,695 例(IL-2+抗レトロウイルス療法群 849 例,抗レトロウイルス療法単独群 846 例)を登録し,ESPRIT では CD4+細胞数中央値 457 個/mm3 の患者 4,111 例(IL-2+抗レトロウイルス療法群 2,071 例,抗レトロウイルス療法単独群 2,040 例)を登録した.CD4+細胞数は,追跡期間中央値 7~8 年間で,IL-2 併用群のほうが抗レトロウイルス療法単独群よりも多く,SILCAAT 試験では平均 53 個/mm3,ESPRIT では平均 159 個/mm3 多かった.IL-2 併用の日和見感染症またはあらゆる原因による死亡のハザード比(対 抗レトロウイルス療法単独)は,SILCAAT 試験では 0.91(95%信頼区間 [CI] 0.70~1.18,P=0.47),ESPRIT では 0.94(95% CI 0.75~1.16,P=0.55)であった.あらゆる原因による死亡のハザード比とグレード 4 の臨床イベントのハザード比は,SILCAAT 試験ではそれぞれ 1.06(P=0.73)と 1.10(P=0.35),ESPRIT ではそれぞれ 0.90(P=0.42)と 1.23(P=0.003)であった.

結 論

いずれの試験においても,CD4+細胞数は抗レトロウイルス療法単独より,IL-2 併用で持続的かつ大幅に増加したにもかかわらず,IL-2 の臨床的利益は認められなかった.(ClinicalTrials. gov 番号:NCT00004978 [ESPRIT],NCT00013611 [SILCAAT 試験])

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2009; 361 : 1548 - 59. )