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November 5, 2009 Vol. 361 No. 19

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赤芽球癆に対するペプチドベースのエリスロポエチン受容体作動薬
A Peptide-Based Erythropoietin-Receptor Agonist for Pure Red-Cell Aplasia

I.C. Macdougall and Others

背景

新規の合成ペプチドベースのエリスロポエチン受容体作動薬(Hematide,Affymax 社)により,抗エリスロポエチン抗体が原因で貧血を呈する患者において,赤血球産生を刺激できるかどうかを検討した.

方 法

この非盲検単群試験では,慢性腎臓病を有し,抗エリスロポエチン抗体による赤芽球癆または赤芽球低形成を伴う患者を登録し,合成ペプチドベースのエリスロポエチン受容体作動薬を投与した.初期用量を 0.05 mg/kg 体重として 4 週ごとに皮下注射した.主要エンドポイントは,輸血を必要とせずにヘモグロビン濃度が 11 g/dL を超えることとした.

結 果

14 例に,ペプチド作動薬を中央値で 28 ヵ月間投与した.ヘモグロビン濃度の中央値は,作動薬投与前の 9.0 g/dL(12 例は輸血あり)から,最終投与時には 11.4 g/dL まで上昇した.輸血の必要性は初回投与後 12 週間以内に低下し,それ以降は 14 例中 13 例で定期的な輸血は不要となった.網赤血球数のピーク値は,投与前の中央値 10×109/L から 100×109/L 超に増加した.抗エリスロポエチン抗体濃度は試験期間中に低下し,6 例では検出不能となった.1 例では初回投与に反応したが,3 ヵ月後までに,投与量を増やしたにもかかわらず血液学的反応が低下し,再度輸血が必要となった.この患者では,ペプチド作動薬に対する抗体が認められた.1 例がペプチド作動薬の最終投与から 4 ヵ月後に死亡し,そのほか 7 例で試験期間中にグレード 3 または 4 の有害事象が発生した.

結 論

この新規のエリスロポエチン受容体作動薬により,抗エリスロポエチン抗体に起因する赤芽球癆患者の貧血を改善することが可能である.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00314795)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2009; 361 : 1848 - 55. )