November 12, 2009 Vol. 361 No. 20
米国における 2009 H1N1 インフルエンザによる入院患者 ― 2009 年 4 月~6 月
Hospitalized Patients with 2009 H1N1 Influenza in the United States, April–June 2009
S. Jain and Others
2009 年春,パンデミックインフルエンザ A(H1N1)ウイルスが出現し,世界的に広まった.2009 年 4 月~6 月中旬に,米国で 2009 H1N1 インフルエンザにより入院した患者の臨床像を報告する.
診療録を用いて,インフルエンザ様疾患で 24 時間以上入院し,リアルタイム逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応法で 2009 H1N1 ウイルス陽性を示した 272 例のデータを収集した.
調査した 272 例のうち,25%が集中治療室に入室し,7%が死亡した.患者は 45%が 18 歳未満の小児で,5%が 65 歳以上であった.患者の 73%が喘息,糖尿病,心疾患,肺疾患,神経疾患などの基礎疾患を 1 つ以上有するか,妊娠中であった.入院時に胸部 X 線撮影を行った 249 例のうち,100 例(40%)が肺炎に一致する所見を示した.抗ウイルス薬の使用に関するデータが得られた 268 例のうち,200 例(75%)が発症後中央値 3 日で抗ウイルス薬による治療を開始した.データからは,入院患者では抗ウイルス薬の使用が,とくに早期に投与を開始した場合に有益であったことが示唆される.
評価期間中に,2009 H1N1 インフルエンザは,肺炎をはじめ,死にいたる場合もあるような,入院を要する重症疾患を引き起こした.患者の約 3/4 は基礎疾患を 1 つ以上有していた.65 歳以上では重症疾患はほとんど報告されなかった.患者には抗ウイルス療法が有益であると思われた.