November 26, 2009 Vol. 361 No. 22
徐放性ナイアシンまたはエゼチミブの投与と頸動脈内膜中膜厚
Extended-Release Niacin or Ezetimibe and Carotid Intima–Media Thickness
A.J. Taylor and Others
スタチン単剤療法中に脂質プロファイルをさらに改善するためには,高比重リポ蛋白(HDL)コレステロール値を上昇させる治療か,低比重リポ蛋白(LDL)コレステロール値をさらに低下させる治療を併用するという選択肢がある.
冠動脈心疾患または同等の冠動脈心疾患リスクを有する患者で,長期のスタチン療法を受け,LDL コレステロール値が 100 mg/dL(2.6 mmol/L)未満で,HDL コレステロール値が男性 50 mg/dL(1.3 mmol/L)未満,女性 55 mg/dL(1.4 mmol/L)未満を達成している患者を試験に組み入れ,徐放性ナイアシン(niacin)投与群(目標用量 2,000 mg/日)と,エゼチミブ投与群(10 mg/日)に無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,14 ヵ月後の総頸動脈内膜中膜厚の平均値の,ベースラインからの変化の群間差とした.208 例が試験を完了後,事前に規定した解析によって有効性が認められたため試験は早期に打ち切られた.
14 ヵ月の試験期間中に,ナイアシン群の平均 HDL コレステロール値は 18.4%上昇して 50 mg/dL となり(P<0.001),エゼチミブ群の平均 LDL コレステロール値は 19.2%低下して 66 mg/dL(1.7 mmol/L)となった(P<0.001).ナイアシン投与により,LDL コレステロール値とトリグリセリド値は有意に低下した.エゼチミブ投与により,HDL コレステロール値とトリグリセリド値は低下した.エゼチミブと比べて,ナイアシンは 14 ヵ月間の頸動脈内膜中膜厚の平均値の変化において有効であったことを示し(P=0.003),頸動脈内膜中膜厚の平均値(P=0.001),最大値とも有意に減少した(すべての比較においてP≦0.001).逆説的に,エゼチミブに関連した LDL コレステロール値のより大きな低下は,頸動脈内膜中膜厚の増加と有意に関係していた(R=-0.31,P<0.001).主要心血管イベントの発生率は,ナイアシン群のほうがエゼチミブ群より低かった(1% 対 5%,χ2 検定による P=0.04).
この有効性比較試験により,スタチン療法に徐放性ナイアシンを併用することで頸動脈内膜中膜厚が有意に減少すること,また,ナイアシンがエゼチミブより優れていることが示された.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00397657)