The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

December 17, 2009 Vol. 361 No. 25

鉄欠乏を伴う心不全患者に対するカルボキシマルトース鉄
Ferric Carboxymaltose in Patients with Heart Failure and Iron Deficiency

S.D. Anker and Others

背景

鉄欠乏は有酸素能力を低下させる可能性がある.この試験の目的は,心不全,左室駆出率低下,鉄欠乏を伴う患者に静注鉄(カルボキシマルトース鉄)を投与することで,貧血の有無にかかわらず症状が改善するかどうかを検討することである.

方 法

ニューヨーク心臓協会(NYHA)の心機能分類が II 度または III 度の慢性心不全を有し,左室駆出率が,NYHA 分類 II 度の場合 40%以下,III 度の場合 45%以下であり,鉄欠乏(フェリチン値 100 μg/L 未満,トランスフェリン飽和率が 20%未満の場合は 100~299 μg/L)がみられ,ヘモグロビン値が 95~135 g/L の患者 459 例を登録した.患者を,200 mg の静注鉄(カルボキシマルトース鉄)を投与する群と生理食塩水(プラセボ)を投与する群に 2:1 の割合で無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,24 週の時点での「患者の自己報告による総合評価(Patient Global Assessment)」と NYHA 心機能分類とした.副次的エンドポイントは,6 分間歩行距離と健康関連 QOL などとした.

結 果

「患者の自己報告による総合評価」で大きく改善,または中等度に改善したと報告した患者の割合は,カルボキシマルトース鉄群では 50%であったのに対し,プラセボ群では 28%であった(改善のオッズ比 2.51,95%信頼区間 [CI] 1.75~3.61).24 週の時点での NYHA 心機能分類が I 度または II 度であった患者の割合は,カルボキシマルトース鉄群では 47%であったのに対し,プラセボ群では 30%であった(I 度の改善のオッズ比 2.40,95% CI 1.55~3.71).貧血を有する患者と有しない患者でも,結果は同等であった.カルボキシマルトース鉄群では,6 分間歩行距離と QOL の評価に有意な改善が認められた.死亡率,有害事象発現率,重篤な有害事象の発現率は両群で同等であった.

結 論

鉄欠乏を伴う慢性心不全患者にカルボキシマルトース鉄の静脈内投与を行うと,貧血の有無にかかわらず,症状,心機能,QOL が改善する.副作用のプロファイルは許容しうるものである.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00520780)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2009; 361 : 2436 - 48. )