骨粗鬆症性脊椎骨折に対する椎体形成術の無作為化試験
A Randomized Trial of Vertebroplasty for Osteoporotic Spinal Fractures
D.F. Kallmes and Others
有痛性の骨粗鬆症性椎体圧迫骨折の治療には,椎体形成術がよく用いられている.
この多施設共同試験では,1~3 椎体に骨粗鬆症性圧迫骨折を起こした患者 131 例を,椎体形成術を受ける群と,骨セメントを注入しない偽手術を受ける群(対照群)のいずれかに無作為に割り付けた.主要転帰は,修正 Roland–Morris 機能障害質問票(Roland–Morris Disability Questionnaire:RDQ)のスコア(0~23 のスコアで,高いほど障害の程度が高いことを示す)と,1 ヵ月の時点で患者が評価した直近 24 時間の疼痛の平均強度(0~10 のスコアで,高いほど痛みが強いことを示す)とした.もう一方の試験群へのクロスオーバーは 1 ヵ月後に許可した.
全例が割り付けられた介入を受けた(椎体形成術 68 例,偽手術 63 例).ベースライン特性は両群で同等であった.1 ヵ月の時点で,椎体形成術群と対照群の RDQ スコア(差 0.7,95%信頼区間 [CI] -1.3~2.8,P=0.49)と疼痛スコア(差 0.7,95% CI -0.3~1.7,P=0.19)に有意差は認められなかった.両群とも,介入後速やかに RDQ スコアと疼痛スコアが改善した.1 ヵ月の副次的評価項目には両群で有意差は認められなかったが,疼痛に対し臨床的に意義のある改善(ベースラインから 30%の減少)がみられた割合は,椎体形成術群のほうが高い傾向にあった(64% 対 48%,P=0.06).3 ヵ月の時点で,クロスオーバーする率は対照群のほうが椎体形成術群より高かった(51% 対 13%,P<0.001).重篤な有害事象は各群で 1 件認められた.
骨粗鬆症性圧迫骨折に伴う疼痛および疼痛に関連する機能障害は,椎体形成術群と対照群で同等の改善を示した.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00068822)