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August 6, 2009 Vol. 361 No. 6

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人工膝関節置換術後の血栓予防のためのアピキサバンとエノキサパリンの比較
Apixaban or Enoxaparin for Thromboprophylaxis after Knee Replacement

M.R. Lassen and Others

背景

関節置換術後の血栓を予防する最適な方法は確立されていない.エノキサパリンなどの低分子ヘパリン製剤は,主に第 Xa 因子を標的とするが,トロンビンもある程度阻害する.第 Xa 因子の特異的阻害薬であるアピキサバン(apixaban)は,出血のリスクが低く,使いやすい血栓予防薬として有効である可能性がある.

方 法

二重盲検ダブルダミー試験において,人工膝関節全置換術を受けた患者を,アピキサバン 2.5 mg を 1 日 2 回経口投与する群と,エノキサパリン 30 mg を 12 時間ごとに皮下投与する群に無作為に割り付けた.いずれも術後 12~24 時間以内に投与を開始し,10~14 日間継続した.その後,両下肢静脈造影を行った.有効性の主要転帰は,無症候性または症候性の深部静脈血栓症,非致死的肺塞栓症,治療中のあらゆる原因による死亡の複合とした.抗凝固療法の中止後,患者を 60 日間追跡した.

結 果

計 3,195 例を無作為化し,1,599 例をアピキサバン群,1,596 例をエノキサパリン群に割り付けた.このうち 908 例は有効性解析の対象外となった.主要イベントの全発生率は,予想よりもはるかに低かった.有効性の主要転帰の発生率は,アピキサバン群 9.0%に対し,エノキサパリン群 8.8%であった(相対リスク 1.02,95%信頼区間 0.78~1.32).重大な出血と,臨床的意義はあるが重大ではない出血の複合発生率は,アピキサバン群 2.9%,エノキサパリン群 4.3%であった(P=0.03).

結 論

人工膝関節置換術後の血栓予防におけるアピキサバンの有効性は,エノキサパリンと比較し,事前に規定した非劣性の統計的基準を満たさなかった.しかし,アピキサバンの使用には,臨床的意義のある出血の発生率の低下との関連がみられ,また,その有害事象プロファイルはエノキサパリンと同等であった.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00371683)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2009; 361 : 594 - 604. )