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August 13, 2009 Vol. 361 No. 7

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メキシコでのブタ由来のインフルエンザ A(H1N1)による肺炎と呼吸不全
Pneumonia and Respiratory Failure from Swine-Origin Influenza A(H1N1)in Mexico

R. Perez-Padilla and Others

背景

2009 年 3 月末にメキシコで報告された呼吸器疾患の集団発生は,後にブタ由来の新型インフルエンザ A(H1N1)ウイルス(S-OIV)が原因であることが確認された.メキシコシティの国立第三次呼吸器疾患専門病院に肺炎で入院し,ブタインフルエンザとして知られる S-OIV の感染が臨床検査で確定診断された患者の臨床像と疫学的特性について報告する.

方 法

入院患者のデータを収集するため,診療録を後ろ向きに検討した.S-OIV 感染の確認には,リアルタイム逆転写ポリメラーゼ連鎖反応法を用いた.

結 果

2009 年 3 月 24 日~4 月 24 日にメキシコシティの国立呼吸器疾患研究所(National Institute of Respiratory Diseases:INER)に急性呼吸器疾患で入院した 98 例のうち,肺炎を伴う S-OIV 感染の確定症例 18 例を同定した.半数以上が 13~47 歳であり,基礎疾患を有していたのは 8 例のみであった.18 例のうち,16 例はこの疾患で INER に最初に入院し,残りの 2 例は他院からの紹介であった.全例で,発熱,咳嗽,息切れまたは呼吸困難,血清中の乳酸脱水素酵素の高値,両肺の斑状影が認められた.これら以外に,クレアチンキナーゼ値の上昇(62%),リンパ球の減少(61%)が多く認められた.12 例が人工換気を必要とし,7 例が死亡した.22 例の医療従事者が,最初の 3 例との接触後 7 日以内に軽症・中等症のインフルエンザ様疾患を発症してオセルタミビルの投与を受けたが,入院はしなかった.

結 論

それまで健康であった若年~中年者が S-OIV に感染した場合,重症疾患,急性呼吸促迫症候群,死亡が発生する可能性がある.医療従事者への二次感染に重症疾患はみられなかった.

本論文(10.1056/NEJMoa0904252)は,2009 年 6 月 29 日に NEJM.org で発表された.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2009; 361 : 680 - 9. )