September 3, 2009 Vol. 361 No. 10
肺腺癌に対するゲフィチニブ療法とカルボプラチン+パクリタキセル併用療法の比較
Gefitinib or Carboplatin–Paclitaxel in Pulmonary Adenocarcinoma
T.S. Mok and Others
先行の非対照試験から,特定の非小細胞肺癌患者には,ゲフィチニブを用いた初回療法が有効であることが示されている.
今回の非盲検第 3 相試験では,東アジアにおいて,未治療の進行性肺腺癌を有する非喫煙者または元軽度喫煙者の患者を,ゲフィチニブ(250 mg/日)投与群(609 例)と,カルボプラチン(曲線下面積 [AUC] が 5~6 mg/mL/分となるよう計算された用量)とパクリタキセル(200 mg/m2)の併用投与群(608 例)に無作為に割り付けた.主要エンドポイントは無増悪生存率とした.
12 ヵ月無増悪生存率は,ゲフィチニブ群 24.9%,カルボプラチン+パクリタキセル併用群 6.7%であった.intention-to-treat 集団における無増悪生存期間について,ゲフィチニブのカルボプラチン+パクリタキセル併用に対する非劣性を示すという主要評価項目が達成され,また優越性も示された(増悪または死亡のハザード比 0.74,95%信頼区間 [CI] 0.65~0.85,P<0.001).上皮成長因子受容体遺伝子(EGFR)変異陽性患者 261 例のサブグループでは,無増悪生存率は,ゲフィチニブ群のほうがカルボプラチン+パクリタキセル併用群より有意に高かった(増悪または死亡のハザード比 0.48,95% CI 0.36~0.64,P<0.001).一方変異陰性患者 176 例のサブグループでは,無増悪生存率はカルボプラチン+パクリタキセル併用群のほうが有意に高かった(ゲフィチニブ群の増悪または死亡のハザード比 2.85,95% CI 2.05~3.98,P<0.001).高頻度にみられた有害事象は,ゲフィチニブ群では発疹または痤瘡(66.2%),下痢(46.6%),カルボプラチン+パクリタキセル併用群では神経毒性(69.9%),好中球減少(67.1%),脱毛(58.4%)であった.
東アジアの非喫煙者/元軽度喫煙者の肺腺癌患者に対する初回療法として,ゲフィチニブ療法は,カルボプラチンとパクリタキセルの併用療法よりも優れている.EGFR 遺伝子の変異は,ゲフィチニブでより良好な転帰が得られることの強い予測因子である.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00322452)