September 3, 2009 Vol. 361 No. 10
血管手術を受ける患者におけるフルバスタチン投与と周術期イベント
Fluvastatin and Perioperative Events in Patients Undergoing Vascular Surgery
O. Schouten and Others
血管手術後は,有害心イベントが発生する頻度が高い.われわれは,周術期のスタチン療法により,術後の転帰が改善されるという仮説を立てた.
二重盲検プラセボ対照試験において,血管手術を受ける予定のスタチン投与歴のない患者を,術前にβ遮断薬に加え,1 日 1 回,徐放性フルバスタチン 80 mg を投与する群と,プラセボを投与する群に無作為に割り付けた.無作為化時と手術前に,脂質濃度,インターロイキン-6 濃度,C 反応性蛋白(CRP)値を測定した.主要エンドポイントは,術後 30 日以内における一過性の心電図異常,トロポニン T の放出,あるいはその両方で定義される心筋虚血の発生とした.副次的エンドポイントは,心血管系の原因による死亡と心筋梗塞の複合とした.
250 例をフルバスタチン群に,247 例をプラセボ群に割り付け,血管手術の中央値 37 日前に投与した.投与後,総コレステロール値,低比重リポ蛋白コレステロール値,インターロイキン-6 濃度,CRP 値は,フルバスタチン群では有意に低下したが,プラセボ群では変化はみられなかった.術後の心筋虚血は,フルバスタチン群の 27 例(10.8%),プラセボ群の 47 例(19.0%)で発生した(ハザード比 0.55,95%信頼区間 [CI] 0.34~0.88,P=0.01).心血管系の原因による死亡または心筋梗塞は,フルバスタチン群の 12 例(4.8%),プラセボ群の 25 例(10.1%)で発生した(ハザード比 0.47,95% CI 0.24~0.94,P=0.03).フルバスタチン療法に関連する有害事象発生率の有意な上昇はみられなかった.
血管手術を受ける患者において,周術期のフルバスタチン療法は,術後の心疾患転帰の改善に関連していた.(Current Controlled Trials 番号:SRCTN83738615)