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September 3, 2009 Vol. 361 No. 10

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デュピュイトラン拘縮に対するヒストリチクス菌由来コラゲナーゼ注射
Injectable Collagenase Clostridium Histolyticum for Dupuytren's Contracture

L.C. Hurst and Others

背景

デュピュイトラン病では,手の機能が制限され,QOL が低下し,最終的には手が機能しなくなる.手術とその後のハンドセラピーが標準的な治療法であるが,重篤な合併症の可能性を伴う.ヒストリチクス菌由来コラゲナーゼ注射は,診察室で行うことのできる非外科的治療選択肢として,デュピュイトラン病による関節拘縮を改善させる可能性がある.

方 法

無作為化二重盲検プラセボ対照多施設共同前向き試験において,20°以上の関節拘縮のある患者 308 例を登録した.患指の第一中手指節関節または近位指節間関節を,ヒストリチクス菌由来コラゲナーゼ注射群(1 回 0.58 mg),プラセボ群に無作為に割り付け,拘縮した腱に,30 日間隔で最大 3 回注射した.注射の翌日に関節の徒手整復を行った.主要エンドポイントは,最後の注射から 30 日の時点で,拘縮が 0°~5°の完全伸展まで改善することとした.26項目の副次的エンドポイントを評価し,有害事象データを収集した.

結 果

コラゲナーゼ注射により,転帰は有意に改善した.コラゲナーゼ群では,プラセボ群に比べて主要エンドポイントに達した割合が高く(64.0% 対 6.8%,P<0.001),すべての副次的エンドポイントについても同様であった(P≦0.002).全体で,関節可動域はコラゲナーゼ群でプラセボ群よりも有意に改善した(43.9°から 80.7° 対 45.3°から 49.5°,P<0.001).もっとも多く報告された有害事象は,限局性の腫脹,疼痛,挫傷,瘙痒,一過性の局所的なリンパ節腫脹・圧痛であった.治療に関連する重篤な有害事象として,腱断裂 2 例と複合性局所疼痛症候群 1 例の,計 3 例が報告された.屈曲と握力に有意な変化は認められず,全身性アレルギー反応,神経損傷も認められなかった.

結 論

ヒストリチクス菌由来コラゲナーゼにより,デュピュイトラン病の進行に伴う拘縮が有意に改善し,関節可動域も改善した.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00528606)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2009; 361 : 968 - 79. )