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March 25, 2010 Vol. 362 No. 12

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非アルコール性脂肪肝におけるアポリポ蛋白 C3 遺伝子変異
Apolipoprotein C3 Gene Variants in Nonalcoholic Fatty Liver Disease

K.F. Petersen and Others

背景

非アルコール性脂肪肝は,肝インスリン抵抗性,2 型糖尿病との関連が示されている.この関連の基盤に遺伝が関与しているのかは明らかにされていない.

方 法

インド人男性は非アルコール性脂肪肝の有病率が高いことが知られているが,その健常男性 95 例を対象に,高トリグリセリド血症との関連が知られているアポリポ蛋白 C3(APOC3)をコードする遺伝子の一塩基多型(SNP)2 個(rs2854116 [T-455C] と rs2854117 [C-482T])の遺伝子型を決定した.血漿アポリポ蛋白 C3 濃度,インスリン感受性,肝臓トリグリセリド量を測定した.また,経口脂肪負荷試験後に血漿トリグリセリド濃度とレチニル脂肪酸エステル吸収,経静脈的脂肪負荷試験後に血漿トリグリセリドのクリアランスを測定した.健常な非インド人男性 163 人においても肝臓トリグリセリド量と APOC3 遺伝子型を調査した.

結 果

APOC3 変異対立遺伝子(C-482T,T-455C,または両方)保有者は,野生型ホモ接合体保有者に比べ,空腹時血漿アポリポ蛋白 C3 濃度が 30%高かった.また,空腹時血漿トリグリセリド濃度は 60%高く,経口脂肪負荷試験後の血漿トリグリセリド濃度とレチニル脂肪酸エステル濃度は約 2 倍高く,血漿トリグリセリドのクリアランスは 46%低かった.非アルコール性脂肪肝の有病率は,変異対立遺伝子保有者では 38%であり,野生型ホモ接合体保有者では 0%であった(P<0.001).非アルコール性脂肪肝保有例では著明なインスリン抵抗性を示した.非インド人男性を対象にした妥当性研究により,APOC3 変異対立遺伝子と非アルコール性脂肪肝との関連が確認された.

結 論

APOC3 の多型 C-482T と T-455C は,非アルコール性脂肪肝とインスリン抵抗性に関連していることが示された.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 362 : 1082 - 9. )