March 25, 2010 Vol. 362 No. 12
頻度の高い 3 つの内科的疾患の病院の症例数と 30 日死亡率の関連
Hospital Volume and 30-Day Mortality for Three Common Medical Conditions
J.S. Ross and Others
急性心筋梗塞,心不全,肺炎で入院した患者の死亡率と,病院の症例数との関連は明らかにされていない.また,このような関連に症例数の閾値が存在するかどうかも不明である.
2004~06 年に米国の急性期病院に急性心筋梗塞,心不全,肺炎のいずれかで入院した出来高払いメディケア受給者全例の保険請求データについて横断的解析を行った.疾患ごとに階層的ロジスティック回帰モデルを用いて,病院の年間症例 100 例の増加に伴う 30 日以内の死亡のオッズを算出した.解析は,患者の危険因子と病院の特性で補正して行った.ブートストラップ法を用いて 95%信頼区間を推定し,それ以上症例数が増加しても死亡率の低下との関連が認められなくなる病院の疾患特異的な症例数の閾値を同定した.
入院患者数は,急性心筋梗塞は 4,128 施設で 734,972 例,心不全は 4,679 施設で 1,324,287 例,肺炎は 4,673 施設で 1,418,252 例であった.症例数の増加は,30 日死亡率の低下と関連がみられた(すべての比較で P<0.001).病院の症例数と転帰との関連は,いずれの疾患も病院の症例数が増加するにつれて弱まった.急性心筋梗塞については,年間症例数が 610 例(95%信頼区間 [CI] 539~679)に達すると,症例 100 例の増加に伴う死亡のオッズ低下との有意な関連はみられなくなった.心不全は 500 例(95% CI 433~566),肺炎は 210 例(95% CI 142~284)が,症例数の閾値であった.
急性心筋梗塞,心不全,肺炎では,症例数の多い病院への入院は死亡率の低下と関連していたが,疾患特異的な病院の症例数には,それ以上増加しても死亡率の低下との有意な関連が認められなくなる閾値が存在していた.