HIV-1 伝播減少のための抗レトロウイルス薬の母親への投与と乳児への投与の比較
Maternal or Infant Antiretroviral Drugs to Reduce HIV-1 Transmission
C.S. Chasela and Others
マラウイにおいて,授乳期 28 週間に母親に行う 3 剤抗レトロウイルスレジメンと,乳児に行うネビラピン予防投与とで,ヒト免疫不全ウイルス 1 型(HIV-1)の出生後の伝播減少に対する有効性を比較検討した.
HIV-1 陽性で CD4+リンパ球数 250 個/mm3 以上の授乳中の母親 2,369 例とその児を,母親に抗レトロウイルスレジメンを行う群,乳児にネビラピンを投与する群,出生後は抗レトロウイルスレジメンを継続しない群(対照群)のいずれかに無作為に割り付けた.すべての母児に,周産期予防投与としてネビラピン投与を 1 回,ジドブジン・ラミブジン併用投与を 1 週間行った.Kaplan–Meier 法を用いて,生後 2 週で HIV-1 陰性であった児の,28 週までの HIV-1 伝播または死亡の累積リスクを推定した.比率は log-rank 検定を用いて比較した.
母児 2,369 組のうち,5.0%の児が生後 2 週で HIV-1 陽性であった.生後 2~28 週における HIV-1 伝播の推定リスクは,対照群(5.7%)で,母親レジメン群(2.9%,P=0.009),乳児レジメン群(1.7%,P<0.001)より高かった.生後 2~28 週における児の HIV-1 感染・死亡の推定リスクは,対照群 7.0%,母親レジメン群 4.1%(P=0.02),乳児レジメン群 2.6%(P<0.001)であった.母親が好中球減少症をきたした割合は,抗レトロウイルスレジメンを受けた母親レジメン群 6.2%で,乳児レジメン群(2.6%),対照群(2.3%)より高かった.ネビラピン投与を受けた児の 1.9%に過敏反応が認められた.
授乳期 28 週間に母親に行う抗レトロウイルスレジメンと乳児に行うネビラピン投与はいずれも,HIV-1 伝播の減少に有効であった.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00164736)