ボツワナにおける妊娠中および授乳期間中の抗レトロウイルス療法
Antiretroviral Regimens in Pregnancy and Breast-Feeding in Botswana
R.L. Shapiro and Others
妊娠中のヒト免疫不全ウイルス 1 型(HIV-1)母児感染の予防にもっとも効果的な高活性抗レトロウイルス療法(HAART)と,その授乳期間中の効果は明らかにされていない.
HIV-1 に感染した CD4+数が 200 個/mm3 以上の妊娠女性 560 例を,アバカビル,ジドブジン,ラミブジンを投与する群(ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬 [NRTI] 群)と,ロピナビル・リトナビル配合剤とジドブジン・ラミブジン配合剤を投与する群(プロテアーゼ阻害薬群)に無作為に割り付け,妊娠 26~34 週目から,産後 6 ヵ月までの離乳期に投与した.CD4+数が 200 個/mm3 未満の妊娠女性 170 例には,ネビラピンとジドブジン・ラミブジンを投与した(観察群).児には,ネビラピン投与を 1 回,ジドブジン投与を 4 週間行った.
400 コピー/mL 未満へのウイルス抑制率は高く,分娩時(NRTI 群 96%,プロテアーゼ阻害薬群 93%,観察群 94%),授乳期間中(NRTI 群 92%,プロテアーゼ阻害薬群 93%,観察群 95%)のいずれにおいても,3 群間で有意差は認められなかった.生後 6 ヵ月までに,出生児 709 例中 8 例(1.1%)で感染が認められた(95%信頼区間 0.5~2.2).内訳は子宮内感染6 例(NRTI 群 4 例,プロテアーゼ阻害薬群 1 例,観察群 1 例),授乳期間中の感染 2 例(NRTI 群 2 例)であった.治療制限につながる有害事象は,NRTI 群の 2%,プロテアーゼ阻害薬群の 2%,観察群の 11%で発生した.
妊娠から産後 6 ヵ月にわたる HAART レジメンではいずれも,高いウイルス抑制率が得られ,全母児感染率は 1.1%であった.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00270296)