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June 24, 2010 Vol. 362 No. 25

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オマーンにおける不活化ポリオウイルスワクチンの少量投与
Fractional Doses of Inactivated Poliovirus Vaccine in Oman

A.J. Mohammed and Others

背景

発展途上国において,不活化ポリオウイルスワクチンを安価で使用できるようにするための戦略を評価すべく,オマーンで乳児に対するワクチンの少量投与に関する臨床試験を行った.

方 法

針無圧力注射器を用いた不活化ポリオウイルスワクチンの少量の皮内投与(0.1 mL,規定量の 1/5)の免疫原性と反応性を,規定量の筋肉内投与と比較した.乳児を出生時に少量投与群と規定量投与群に無作為に割り付け,生後 2 ヵ月,4 ヵ月,6 ヵ月の時点で不活化ポリオウイルスワクチンを投与した.また,生後 7 ヵ月の時点で,一価経口ポリオウイルスワクチン 1 型のチャレンジ投与を行い,投与前と投与後 7 日の時点で便検体を収集した.

結 果

乳児 400 例を無作為化し,373 例(93.2%)が試験要件を満たした.患者背景に群間で有意差は認められなかった.予定した 3 回の投与終了後 30 日の時点で,少量投与群のセロコンバージョン率は,ポリオウイルス 1 型が 97.3%,2 型が 95.7%,3 型が 97.9%であったのに対し,規定量投与群では 3 血清型すべてが 100%であった(2 型の比較では P=0.01;1 型,3 型の比較結果は有意ではなかった).少量投与群の抗体価の中央値は,規定量投与群に比べて有意に低かった(3 血清型すべてについて P<0.001).7 ヵ月の時点で,少量投与群の乳児の 74.8%と規定量投与群の 63.1%にポリオウイルス 1 型の排出が認められた(P=0.03).出生から生後 7 ヵ月までに 42 件の入院が報告され,それらは感染,貧血,転倒のいずれかと関連していたが,群間で有意差は認められなかった.

結 論

これらのデータにより,生後 2 ヵ月,4 ヵ月,6 ヵ月に行う少量の不活化ポリオウイルスワクチンの皮内投与は,同スケジュールで行う規定量の筋肉内投与と比べて,同程度のセロコンバージョン率が得られるが,抗体価は有意に低いことが示された.(Current Controlled Trials 番号:ISRCTN17418767)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 362 : 2351 - 9. )