January 28, 2010 Vol. 362 No. 4
外来診療の自己負担額引き上げと高齢者の入院
Increased Ambulatory Care Copayments and Hospitalizations among the Elderly
A.N. Trivedi, H. Moloo, and V. Mor
外来診療の自己負担額を引き上げると,高齢患者が重要な外来診療を控え,入院治療の増加につながる可能性がある.
外来診療の自己負担額を引き上げたメディケアプラン加入者とマッチさせた対照プラン(自己負担額が変更されなかったプラン)加入者のあいだで,外来診療と入院治療利用の継時的な変化を比較した.調査対象は,2001~06 年に 36 種類のメディケアプランのいずれかに加入した 899,060 人とした.
外来診療の自己負担額を引き上げたプランでは,プライマリケア(7.38 ドルから 14.38 ドル)と専門科治療(12.66 ドルから 22.05 ドル)のいずれにおいても,平均自己負担額はほぼ倍増していた.対照プランの平均自己負担額は,プライマリケア 8.33 ドル,専門科治療 11.38 ドルと変化はみられなかった.自己負担額が引き上げられた年の翌年には,自己負担額を引き上げたプランでは,対照プランにおける同時期の動向と比較して,加入者 100 人あたりの年間外来件数が 19.8 件減少し(95%信頼区間 [CI] 16.6~23.1),年間入院件数が 2.2 件増加し(95% CI 1.8~2.6),年間入院日数が 13.4 日多かった(95% CI 10.2~16.6).また,入院した加入者の割合は 0.7 パーセントポイント増加した(95% CI 0.51~0.95).これらの推計は,プランの継続的加入者の集団でも一致していた.外来診療の自己負担額引き上げの影響は,収入と教育水準が低い地域に居住する加入者と,高血圧,糖尿病,または心筋梗塞歴のある加入者で大きかった.
外来診療の自己負担額引き上げにより,高齢患者の健康に悪影響が及び,医療費の総支出が増加する可能性がある.