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January 7, 2010 Vol. 362 No. 1

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小児喘息と関連した DENND1B の変異
Variants of DENND1B Associated with Asthma in Children

P.M.A. Sleiman and Others

背景

喘息は遺伝と環境が関与する複雑な疾患である.喘息感受性に関連する遺伝的要因についてはほとんどわかっていない.

方 法

喘息児を対象にゲノムワイド関連研究を行った.持続型喘息で毎日グルココルチコイド吸入を必要とするヨーロッパ系北米人の小児 793 例と,マッチさせた対照 1,988 例を発見セットとした.ヨーロッパ系の喘息患者 917 例とマッチさせた対照 1,546 例から成る独立したコホートを再現セットとして,ゲノムワイドな関連を調査した.最後に,アフリカ系北米人の喘息児 1,667 例と人種でマッチさせた対照 2,045 例を対象に,染色体 1q31 上の 20 個の一塩基多型(SNP)と喘息との関連を調査した.

結 果

ヨーロッパ系小児のサンプルすべてのメタアナリシスで,これまでに報告されている 17q21 上の遺伝子座の SNP に加え,1q31 上の新規遺伝子座の 8 個の SNP と喘息のあいだに,ゲノムワイドに有意な関連が認められた.喘息との関連がもっとも強かった SNP は rs2786098 であった(P=8.55×10-9).ヨーロッパ系の人々の独立したコホートで,喘息と rs2786098 の関連が再現された(発見セットと再現セットを合わせた P=9.3×10-11).アフリカ系小児でも,染色体 1q31 上のこの 8 個の SNP の対立遺伝子はそれぞれ喘息と強く関連していた(すべてのサンプルでの比較で P=1.6×10-13).この 1q31 上の遺伝子座には,ナチュラルキラー細胞と樹状細胞で発現され,腫瘍壊死因子 α 受容体と相互作用する蛋白をコードする遺伝子 DENND1B が含まれている.

結 論

染色体 1q31.3 上に,喘息感受性と関連する DENND1B を含む遺伝子座を同定した.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 362 : 36 - 44. )