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January 7, 2010 Vol. 362 No. 1

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カリフォルニア州の妊産婦における 2009 H1N1 インフルエンザの重症化
Severe 2009 H1N1 Influenza in Pregnant and Postpartum Women in California

J.K. Louie and Others

背景

2009 パンデミックインフルエンザ A(H1N1)は,過去の流行性疾患やパンデミック疾患と同様に,妊娠女性が感染した場合重症化するリスクが高い可能性がある.

方 法

カリフォルニア州公衆衛生局(California Department of Public Health)により,2009 H1N1 インフルエンザで入院または死亡した患者に関する州規模サーベイランスが開始された.われわれは,2009 年 4 月 23 日~8 月 11 日に報告された,H1N1 に感染して入院または死亡した妊娠可能年齢の非妊娠女性,妊娠女性,産後女性(産後 2 週以内)の人口統計データと臨床データを精査した.

結 果

2009 H1N1 インフルエンザで入院した妊娠女性 94 例,産後女性 8 例,妊娠可能年齢の非妊娠女性 137 例のデータが報告された.迅速抗原検査では,検査を受けた患者の 38%(153 例中 58 例)が偽陰性であった.妊娠女性の大部分(94 例中 89 例 [95%])は妊娠第 2 ~第 3 期で,約 1/3(93 例中 32 例 [34%])は,妊娠のほかにインフルエンザ合併症の確立された危険因子を有していた.妊娠女性では,抗ウイルス薬治療の遅延は早期開始(症状発現後 2 日以内)と比較して集中治療室(ICU)への入室または死亡の増加に関連していた(相対リスク 4.3).妊娠女性 18 例と産後女性 4 例(102 例中 22 例 [22%])が集中治療を要し,8 例(8%)が死亡した.ICU での出産は 6 件あり,うち 4 件は緊急帝王切開であった.2009 H1N1 インフルエンザ特異的妊産婦死亡率(出生 10 万あたりの妊産婦死亡数)は 4.3 であった.

結 論

2009 H1N1 インフルエンザは,妊産婦に重症疾患と死亡をもたらす可能性がある.妊産婦に対しては,迅速抗原検査の結果にかかわらずインフルエンザ様疾患の迅速な評価と抗ウイルス薬治療を検討すべきである.2009 H1N1 インフルエンザ特異的妊産婦死亡率が高いことから,米国における 2009 年妊産婦死亡率は,2009 H1N1 インフルエンザにより上昇する可能性があることが示唆される.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 362 : 27 - 35. )