The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

February 18, 2010 Vol. 362 No. 7

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

発展途上国における新生児ケアの指導と周産期死亡率
Newborn-Care Training and Perinatal Mortality in Developing Countries

W.A. Carlo and Others

背景

年間 370 万例の新生児死亡と 330 万例の死産のうち,98%は発展途上国で発生している.このような新生児死亡を減らすためにデザインされた,地域ベースの介入を評価する必要がある.

方 法

指導者養成モデルを用いて,6 ヵ国(アルゼンチン,コンゴ民主共和国,グアテマラ,インド,パキスタン,ザンビア)の農村地域の分娩介助者を,現地の指導者が指導した.世界保健機関(WHO)の必須新生児ケアコース(Essential Newborn Care course;日常的な新生児ケア,蘇生術,体温調節,授乳,「カンガルー」(母子接触)ケア,低体重児ケア,一般的な疾患に焦点を当てたもの)を 6 ヵ国で実施し,米国小児科学会の新生児蘇生プログラム(American Academy of Pediatrics Neonatal Resuscitation Program;基本的な蘇生術を詳細に指導するもの)の修正版をアルゼンチンを除く 5 ヵ国で実施した.必須新生児ケアコースの評価は,57,643 例の乳児を対象に前後比較試験で行った.新生児蘇生プログラムの評価は,62,366 例の乳児を対象にクラスター無作為化比較試験で行った.主要転帰は,出生後 7 日の新生児死亡率とした.

結 果

出生後 7 日の追跡率は 99.2%であった.分娩介助者が必須新生児ケアコースで指導を受けたあとの出生後 7 日の新生児全死因死亡率には,ベースラインと比べて有意な低下はみられず(指導後の相対リスク 0.99,95%信頼区間 [CI] 0.81~1.22),周産期死亡率にも有意な低下はみられなかったが,死産率には有意な低下がみられた(指導後の相対リスク 0.69,95% CI 0.54~0.88,P=0.003).分娩介助者が新生児蘇生プログラムに割り付けられた出産群では,対照群と比べて,出生後 7 日の新生児死亡率,死産率,周産期死亡率のいずれにも低下はみられなかった.

結 論

地域の分娩介助者に対して必須新生児ケアの指導を導入しても出生後 7 日目の新生児死亡率は低下しなかったが,死産率は低下した.続けて新生児蘇生プログラムの指導を行っても,死亡率に有意な低下はみられなかった.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00136708)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 362 : 614 - 23. )