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September 9, 2010 Vol. 363 No. 11

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結核とリファンピン耐性の迅速な分子検出
Rapid Molecular Detection of Tuberculosis and Rifampin Resistance

C.C. Boehme and Others

背景

従来の結核診断法は,とくに薬剤耐性型の検出やヒト免疫不全ウイルス感染患者においては時間がかかり感度が低いため,世界的な対策の妨げとなっている.早期発見は死亡率の低下や感染防御に不可欠であるが,感度の高い方法は複雑で,基盤設備が必要となるため,それらのアクセス性や効果は限られている.

方 法

薬剤感受性,もしくは多剤耐性肺結核の疑いがある患者 1,730 例を対象に,完全に統合された検体処理機能を有する,結核菌(Mycobacterium tuberculosis:MTB)およびリファンピン(rifampin:RIF)耐性の自動分子検査 Xpert MTB/RIF の性能を評価した.ペルー,アゼルバイジャン,南アフリカ,インドの適格患者から,喀痰検体をそれぞれ 3 回入手した.2 検体は顕微鏡検査,固体・液体培養,MTB/RIF 検査の前に,N-アセチル-L-システインと水酸化ナトリウムを用いて処理し,1 検体は顕微鏡検査と MTB/RIF 検査に直接使用した.

結 果

培養陽性患者における 1 回目の直接的 MTB/RIF 検査では,塗抹陽性患者 561 例中 551 例(98.2%),塗抹陰性患者 171 例中 124 例(72.5%)で結核が同定された.非結核患者は 609 例中 604 例(99.2%)で同定され,検査の特異度は高かった.塗抹陰性-培養陽性の結核患者において 2 回目の MTB/RIF 検査を行うと,感度は 12.6 パーセントポイント上昇し,3 回目の検査では 5.1 パーセントポイント上昇し,感度は最終的に 90.2%になった.表現型の薬剤感受性検査と比較して,MTB/RIF 検査では,リファンピン耐性菌 205 例中 200 例(97.6%),リファンピン感受性菌 514 例中 504 例(98.1%)が正確に同定された.塩基配列決定法では 2 例を除く全例で変異が認められ,MTB/RIF 検査を支持する結果が示された.

結 論

MTB/RIF 検査により,最短所要時間 2 時間以内で,未処理の喀痰から直接的に結核とリファンピン耐性が高感度で検出された.(新規診断法財団から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 363 : 1005 - 15. )