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September 9, 2010 Vol. 363 No. 11

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E2-2 蛋白とフックス角膜ジストロフィー
E2-2 Protein and Fuchs's Corneal Dystrophy

K.H. Baratz and Others

背景

フックス角膜ジストロフィー(Fuchs's corneal dystrophy:FCD)は,角膜移植の主な原因であり,米国では 40 歳を超えた人の 5%が罹患する.FCD 患者の角膜内皮下には,ガッタ(guttae)と呼ばれる臨床的に可視的な沈着物が生じる.顕微鏡で,内皮細胞の消失と異常な細胞外基質の沈着が観察できる.進行例では,角膜の水分排出と透明性を維持するための内皮細胞が十分に残っていないため,角膜が腫脹し混濁する.早期発症型 FCD と典型的な晩期発症型 FCD の両方を引き起こすまれな遺伝子変異は同定されているが,われわれの知る限り,頻度の高い変異は報告されていない.

方 法

ゲノムワイド関連研究を行い,もっとも有意な観察結果を 別の独立した被験者群で再現した.

結 果

転写因子 4 遺伝子(TCF4)のアレルは,E 蛋白ファミリーの一つ(E2-2)をコードしており,典型的 FCD に関連していた(P=2.3×10-26).この関連により,変異遺伝子を 2 コピー(ホモ接合体)有する人が FCD を有するオッズは 30 倍に上昇し,症例被験者と対照とを約 76%の精度で識別することができた.TCF4 遺伝子座の少なくとも 2 つの領域が,FCD と独立に関連していた.G 型蛋白チロシンホスファターゼ受容体をコードしている遺伝子(PTPRG)のアレルは FCD と関連していたが(P=4.0×10-7),この関連はゲノムワイドの有意性には達していなかった.

結 論

TCF4 の遺伝子変異は FCD 発症に寄与している.(米国国立眼研究所ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 363 : 1016 - 24. )