December 16, 2010 Vol. 363 No. 25
テリパラチドと口腔内の骨再生
Teriparatide and Osseous Regeneration in the Oral Cavity
J.D. Bashutski and Others
副甲状腺ホルモンの N 末端から 34 番目までのアミノ酸で構成されるテリパラチドは,間欠投与により骨同化作用をもたらす.テリパラチドは,骨粗鬆症治療と骨折治癒における有効性の評価はなされているが,ヒト口腔内の骨疾患治療における有効性を評価した臨床試験はない.
重症の慢性歯周炎患者 40 例に歯周外科手術を施行し,皮下注射によるテリパラチド(20 μg)またはプラセボの 1 日 1 回の投与を,経口カルシウム(1,000 mg)とビタミン D(800 IU)の補給とともに 6 週間行った.患者を 1 年間追跡した.主要転帰は,X 線写真上の歯槽骨量の直線的測定値とした.副次的転帰は,臨床変数,血清中・口腔液中の骨代謝マーカー,全身骨密度,QOL などとした.
X 線写真上の骨欠損の直線的測定値の改善は,6 ヵ月以降,テリパラチド群のほうがプラセボ群より有意に大きく,1 年の時点での骨量の直線的測定値の増加の平均は,29% 対 3%であった(P<0.001).臨床的改善はテリパラチド群のほうがプラセボ群より大きく,1 年の時点で,標的病変における歯周ポケットの深さの減少は 33% 対 20%(2.42 mm 対 1.32 mm),臨床的アタッチメントレベルの上昇は 22% 対 7%(1.58 mm 対 0.42 mm)であった(両比較について P=0.02).重篤な有害事象は報告されなかったが,今回対象とした症例数は少なかった.評価したその他の項目に有意差は認められなかった.
テリパラチドは,プラセボと比較して,臨床転帰の改善,歯槽骨欠損の大幅な改善,口腔内の骨創傷治癒の促進に関連した.テリパラチドにより,顎の限局性骨量減少に対する治療効果が得られる可能性がある.(米国国立衛生研究所ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00277706)