December 30, 2010 Vol. 363 No. 27
うつ病と慢性疾患を有する患者に対する共同ケア
Collaborative Care for Patients with Depression and Chronic Illnesses
W.J. Katon and Others
うつ病と,コントロール不良の糖尿病または冠動脈疾患あるいはその両方を有する患者では,有害転帰のリスクが上昇し,医療費が高くなる.これらの患者を対象に,複数の疾患に対する協調ケア管理によって疾患コントロールが改善されるかどうかを検討した.
ワシントン州の統合的医療システムに参加している 14 のプライマリケアクリニックにおいて,コントロール不良の糖尿病または冠動脈疾患あるいはその両方と,うつ病を有する患者 214 例を対象に,単盲検無作為化対照試験を行った.患者を通常ケア群,介入群のいずれかに無作為に割り付けた.介入群では,専門医の指導を受けた看護師が,各患者のプライマリケア医と連携しながら,複数の疾患に関連する危険因子のコントロールを目標に,ガイドラインに基づく協調ケア管理を提供した.主要転帰は,12 ヵ月の時点での糖化ヘモグロビン値,低比重リポ蛋白(LDL)コレステロール値,収縮期血圧値,20 項目の症状チェックリスト(SCL-20)によるうつ病の転帰の,同時モデル化に基づくものとした.このモデル化により,単一の全般的治療効果を推定することが可能となった.
対照群と比較して,介入群の患者では,12 ヵ月の時点での糖化ヘモグロビン値(差 0.58%),LDL コレステロール値(差 6.9 mg/dL [0.2 mmol/L]),収縮期血圧値(差 5.1 mmHg),SCL-20 うつ病スコア(差 0.40 ポイント)について,全般的改善度が大きかった(P<0.001).介入群の患者ではさらに,インスリン(P=0.006),降圧薬(P<0.001),抗うつ薬(P<0.001)の調節が 1 回以上行われる確率が高く,QOL がより良好であり(P<0.001),糖尿病または冠動脈疾患あるいはその両方のケア(P<0.001)とうつ病のケア(P<0.001)に対する満足度がより高かった.
うつ病と慢性疾患を有する患者に対して,ガイドラインに基づく患者中心の管理を看護師が提供する介入により,通常ケアに比べて内科的疾患とうつ病のコントロールが有意に改善した.(米国国立精神衛生研究所から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00468676)