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December 30, 2010 Vol. 363 No. 27

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慢性肉芽腫症における NADPH 酸化酵素の残存と生存
Residual NADPH Oxidase and Survival in Chronic Granulomatous Disease

D.B. Kuhns and Others

背景

食細胞由来のスーパーオキシドとそれに関連する活性酸素中間体(ROI)の産生不全は,慢性肉芽腫症でみられる主要な障害であり,感染の再発と肉芽腫の合併を引き起こす.慢性肉芽腫症は,p22phox,p40phox,p47phox,p67phox(常染色体性の慢性肉芽腫症),gp91phox(X 染色体連鎖性慢性肉芽腫症)の遺伝子のミスセンス変異,ナンセンス変異,フレームシフト変異,スプライシング変異,欠失変異によって引き起こされるが,これにより好中球由来の ROI の産生に変化がみられる.われわれは,残存する ROI 産生能が慢性肉芽腫症患者の生存に関連するという仮説を立てた.

方 法

244 家系 287 例の慢性肉芽腫症患者の疾患リスクと死亡リスクについて評価した.残存 ROI 産生の測定には,スーパーオキシド依存性のフェリシトクロム c の還元を利用した分析と,ジヒドロローダミンの酸化を分析するフローサイトメトリーを用いた.免疫ブロット法により NADPH 酸化酵素の構成蛋白の発現を検出し,変異遺伝子については原因となる変異を同定するため配列決定を行った.

結 果

慢性肉芽腫症患者の生存は,特定の変異遺伝子とは無関係に,連続変数とした残存 ROI 産生と強く関連していた.p47phox の変異保有者と,gp91phox のミスセンス変異保有者の大半では,gp91phox のナンセンス変異,フレームシフト変異,スプライシング変異,欠失変異保有者に比べ,残存 ROI 産生が多くみられた.青年期以降は,残存 ROI 産生の程度に応じて死亡率曲線が分かれた.

結 論

ROI 産生能がある程度残存している慢性肉芽腫症患者では,ほとんど残存していない患者に比べ,疾患の重症度が有意に低く,長期生存の可能性が高い.ROI 産生能の残存は,特定の変異遺伝子とは無関係に特定の NADPH 酸化酵素の変異によって予測され,慢性肉芽腫症患者の生存の予測因子である.(米国国立衛生研究所から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 363 : 2600 - 10. )