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April 7, 2011 Vol. 364 No. 14

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青年期の BMI の推移曲線とそれに関連する糖尿病リスクと冠動脈疾患リスクの比較
Adolescent BMI Trajectory and Risk of Diabetes versus Coronary Disease

A. Tirosh and Others

背景

青年期~成人期の体格指数(BMI)と若年成人期の肥満関連疾患との関連は,まだ十分に明らかにされていない.

方 法

前向き研究において,イスラエル軍医療部隊の定期健診センターを通じて,見かけ上健康な若年男性 37,674 例を追跡し,血管造影で確認された冠動脈心疾患と糖尿病の発症を調査した.対象者の身長と体重を定期的に測定した.初回測定は 17 歳時に行われた.

結 果

約 650,000 人年の追跡期間(平均 17.4 年)に,2 型糖尿病の新規発症 1,173 例と冠動脈心疾患の新規発症 327 例が記録された.年齢,家族歴,血圧,生活習慣因子,血中バイオマーカーで補正した多変量モデルにおいて,青年期 BMI(体重 kg/身長 m2,最低十分位群から最高十分位群までの平均値の範囲 17.3~27.6)の増加が,糖尿病(最高十分位群を最低十分位群と比較したハザード比 2.76,95%信頼区間 [CI] 2.11~3.58)と,血管造影で確認された冠動脈心疾患(ハザード比 5.43,95% CI 2.77~10.62)双方の有意な予測因子であった.成人期の BMI でさらに補正すると,青年期 BMI と糖尿病との関連は完全に排除されたが(ハザード比 1.01,95% CI 0.75~1.37),冠動脈心疾患との関連は排除されなかった(ハザード比 6.85,95% CI 3.30~14.21).多変量モデルにおいて BMI 値を連続変数として補正すると,成人期の BMI 増加のみが,糖尿病と有意に関連した(β=1.115,P=0.003,交互作用について P=0.89).一方,血管造影で確認された冠動脈心疾患には,青年期(β=1.355,P=0.004)と成人期(β=1.207,P=0.03)の両時期の BMI 増加が独立して関連していた(交互作用について P=0.048).

結 論

青年期の BMI 増加は,現在正常とみなされる範囲に十分に収まっていても,中年期における肥満関連障害の重大な危険因子となる.糖尿病のリスクは,診断時に近い時点の BMI 増加と主に関連するが,冠動脈心疾患のリスクは青年期と成人期の両時期の BMI 増加と関連する.このことから,冠動脈心疾患,とくにアテローム性動脈硬化の発症を引き起こす過程は,糖尿病の発症を引き起こす過程よりも緩やかであるという仮説が支持される.(ハイム・シバ医療センター,イスラエル国防軍医療部隊から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2011; 364 : 1315 - 25. )