喘息の長期管理における第一選択薬または追加薬としてのロイコトリエン拮抗薬
Leukotriene Antagonists as First-Line or Add-on Asthma-Controller Therapy
D. Price and Others
喘息治療に関する無作為化試験の多くは,理想的な条件下にある特定の患者を対象に行われている.
ロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)の実際の有効性に関する多施設共同実地臨床試験として,長期管理の第一選択薬として LTRA と吸入グルココルチコイドを比較する試験と,すでに吸入グルココルチコイド療法を受けている患者への追加薬として LTRA と長時間作用性 β2 刺激薬(LABA)を比較する試験の 2 件を並行して行った.プライマリケア医を受診し,喘息の診断を受けた 12~80 歳の患者で,喘息関連 QOL が低い(簡易喘息 QOL 質問票 [MiniAQLQ] スコアが 6 以下)か,喘息コントロールが不十分(喘息コントロール質問票 [ACQ] スコアが 1 以上)である患者を適格とした.患者を,第一選択薬試験では LTRA 群(148 例)と吸入グルココルチコイド群(158 例)に,追加薬試験では吸入グルココルチコイドに LTRA を追加する群(170 例)と LABA を追加する群(182 例)に無作為に割り付け,普段かかっている医師のもとで 2 年間の非盲検治療を行った.
平均 MiniAQLQ スコアは,両試験において 2 年間で 0.8~1.0 ポイント上昇した.2 ヵ月の時点で,2 つの治療群間の MiniAQLQ スコアの差は,同等性の定義(補正後の群間差の平均の 95%信頼区間 [CI] -0.3~0.3)を満たした.2 年の時点で,平均 MiniAQLQ スコアはほぼ等しく,補正後の群間差の平均は,第一選択薬試験で -0.11(95% CI -0.35~0.13),追加薬試験で -0.11(95% CI -0.32~0.11)であった.増悪率と ACQ スコアに,2 群間で有意差は認められなかった.
2 ヵ月の時点での試験結果から,プライマリケア医を受診する多様な喘息患者において,LTRA は長期管理の第一選択薬として吸入グルココルチコイドと同等であり,また追加薬として LABA と同等であることが示唆された.2 年の時点では同等性は証明されなかった.実地臨床試験の結果の解釈は,治療群間のクロスオーバーと,プラセボ群が設定されないことにより限界があるのかもしれない.(英国国立医療技術評価調整機関ほかから研究助成を受けた.Controlled Clinical Trials 番号:ISRCTN99132811)