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May 12, 2011 Vol. 364 No. 19

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ヒト肺幹細胞のエビデンス
Evidence for Human Lung Stem Cells

J. Kajstura and Others

背景

肺の明確な解剖学的部位における前駆細胞に関する報告はあるが,内在する幹細胞に関する報告は依然として曖昧である.

方 法

外科的に切除した肺組織標本を in situ で検討し,ヒト肺幹細胞の同定と特性決定を行った.in vitroin vivo でこれらの細胞の表現型と機能特性を明らかにした.

結 果

ヒト肺では,未分化の肺幹細胞が末梢気道の微小環境に入れ子状態で存在する.これらの細胞は,in vitro で自己複製し,クローンを形成し,多分化能を示す.ヒト肺幹細胞は,損傷したマウス肺に in vivo で注射すると,損傷した臓器に構造的・機能的に組み込まれたヒト細気管支,肺胞,肺血管を形成する.キメラ肺の形成が,上皮遺伝子と血管遺伝子のヒト転写物の検出により確認された.さらに,連続移植アッセイで,ヒト肺幹細胞の自己複製と長期増殖が示された.

結 論

ヒト肺には同定可能な幹細胞が存在する.これらの細胞は,動物モデルにおいて組織のホメオスタシスと再生に関与する.また,肺疾患患者において組織修復を促進する,未実証の可能性を秘めている.(米国国立衛生研究所から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2011; 364 : 1795 - 806. )