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February 17, 2011 Vol. 364 No. 7

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市販後調査による中国のインフルエンザ A(H1N1) ワクチンの安全性
Safety of Influenza A (H1N1) Vaccine in Postmarketing Surveillance in China

X.-F. Liang and Others

背景

2009 年 9 月 21 日,中国で接種優先度の高い集団を対象に,2009 パンデミックインフルエンザ A(H1N1)ウイルス感染に対するワクチン(10 社の製造業者から入手)の接種が開始された.本研究の目的は,このワクチン接種プログラムの安全性を評価することである.

方 法

インフルエンザ A(H1N1)ワクチン接種後の有害事象を調査するための受動的サーベイランス計画を作成した.ワクチン接種を行う医師などに対し,ワクチン接種者数と全有害事象を現地の疾病対策予防センター(CDC)に報告するよう義務付けた.各地の CDC は,オンラインの国家予防接種情報システムの国家予防接種後有害事象調査システムを用いて,そのデータを中国 CDC に報告した.2010 年 3 月 21 日までデータを収集し,中国 CDC がデータの検証と解析を行った.

結 果

2009 年 9 月 21 日~2010 年 3 月 21 日に計 8,960 万回のワクチン接種が行われた.8,067 例のワクチン接種者で有害事象が報告され,発生率は接種 100 万回あたり 90.0 件であった.年齢別の有害事象発生率は,60 歳以上で接種 100 万回あたり 31.4 件に対し,9 歳以下で 130.6 件と幅があった.製造業者別の発生率は接種 100 万回あたり 4.6 件~185.4 件と幅があった.8,067 件の有害事象のうち,6,552 件(81.2%,接種 100 万回あたり 73.1 件)はワクチン反応であることが確認された.8,067 件中 1,083 件(13.4%,接種 100 万回あたり 12.1 件)はまれかつ重篤なものであり,そのうちのほとんど(1,050 件)はアレルギー反応であった.ギラン–バレー症候群が 11 例報告されたが,発生率は接種 100 万回あたり 0.1 件で,中国での背景発現率よりも低かった.

結 論

インフルエンザ A(H1N1)ワクチン接種後に,憂慮すべき有害事象のパターンは認められず,ギラン–バレー症候群のリスクが増加するという証拠も認められなかった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2011; 364 : 638 - 47. )