March 10, 2011 Vol. 364 No. 10
間質性肺異常陰影を呈する喫煙者の肺気量と肺気腫
Lung Volumes and Emphysema in Smokers with Interstitial Lung Abnormalities
G.R. Washko and Others
喫煙は肺気腫と X 線上の間質性肺異常陰影に関連する.間質性肺異常陰影がどの程度全肺気量の減少と肺気腫の範囲に関連するのかはわかっていない.
喫煙者のコホート集団で撮影された肺の高分解能コンピュータ断層撮影(HRCT)画像 2,508 件中 2,416 件(96%)で,間質性肺異常陰影を探索した.線形回帰とロジスティック回帰を用いて,間質性肺異常陰影と,HRCT による全肺気量および肺気腫の測定値との関連を評価した.
評価した HRCT 画像 2,416 件中 194 件(8%)に間質性肺異常陰影が認められた.関連する共変量で補正した統計学的モデルにおいて,間質性肺異常陰影は,全肺気量の減少(-0.444 L,95%信頼区間 [CI] -0.596~-0.292,P<0.001)と,肺 CT 値の閾値 -950 Hounsfield 単位(-3%,95% CI -4~-2,P<0.001)および -910 Hounsfield 単位(-10%,95% CI -12~-8,P<0.001)により定義した肺気腫率の低下に関連していた.間質性肺異常陰影が認められない被験者と比べて異常陰影が認められる被験者では,拘束性肺障害(全肺気量が予測値の 80%未満)を有する割合が高く(オッズ比 2.3,95% CI 1.4~3.7,P<0.001),慢性閉塞性肺疾患(COPD)の診断基準を満たす割合が低かった(オッズ比 0.53,95% CI 0.37~0.76,P<0.001).間質性肺異常陰影が全肺気量と肺気腫に及ぼす影響は,COPD の状態に依存していた(交互作用について P<0.02).間質性肺異常陰影は,たばこ煙曝露の増加と現在の喫煙状況の両方と正の相関を示した.
喫煙者において,HRCT 画像約 12 件あたり 1 件に認められる間質性肺異常陰影は,全肺気量の減少と肺気腫率の低下に関連していた.(米国国立衛生研究所,パーカー・B・フランシス財団から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00608764)