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July 21, 2011 Vol. 365 No. 3

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頸動脈壁の内膜中膜厚と心血管イベント
Carotid-Wall Intima-Media Thickness and Cardiovascular Events

J.F. Polak and Others

背景

総頸動脈壁と内頸動脈壁の内膜中膜厚の測定値を追加すると,フラミンガムリスクスコア(Framingham risk score)の心血管イベント予測能が向上する可能性がある.

方 法

フラミンガム子孫研究(Framingham Offspring Study)コホートの 2,965 例を対象に,総頸動脈の平均内膜中膜厚と内頸動脈の最大内膜中膜厚を測定した.心血管疾患転帰を平均 7.2 年間追跡した.内膜中膜厚と危険因子について多変量 Cox 比例ハザードモデルを構築した.内膜中膜厚の測定値を追加した後,8 年フラミンガムリスクスコアに基づく心血管疾患のリスク分類(低,中間,高)の再分類を検討した.

結 果

296 例に心血管イベントが発生した.これらのイベントはフラミンガムリスクスコアの危険因子によって予測され,C 統計量は 0.748(95%信頼区間 [CI] 0.719~0.776)となった.総頸動脈の平均内膜中膜厚の 1 SD 増加に伴う心血管疾患の補正ハザード比は 1.13(95% CI 1.02~1.24)であり,C 統計量の変化は 0.003(95% CI 0.000~0.007)と有意ではなかった.内頸動脈の最大内膜中膜厚については,同ハザード比 1.21(95% CI 1.13~1.29)で,C 統計量には 0.009(95% CI 0.003~0.016)というわずかな増加がみられた.全体の最終的な再分類指数は,内頸動脈の内膜中膜厚を追加すると有意な上昇がみられたが(7.6%,P<0.001),総頸動脈の内膜中膜厚を追加しても有意な上昇はみられなかった(0.0%,P=0.99).また,内頸動脈の内膜中膜厚が 1.5 mm を超えた場合を「プラークあり」と定義したが,プラークが存在する場合の全体の再分類指数は 7.3%となり(P=0.01),C 統計量は 0.014(95% CI 0.003~0.025)増加した.

結 論

フラミンガム子孫研究のコホートにおいて,内頸動脈の最大内膜中膜厚と総頸動脈の平均内膜中膜厚はともに心血管転帰を予測したが,心血管疾患のリスク分類を(わずかではあるが)有意に改善させたのは内頸動脈の最大内膜中膜厚(およびプラークの存在)のみであった.(米国国立心臓・肺・血液研究所から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2011; 365 : 213 - 21. )