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August 4, 2011 Vol. 365 No. 5

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低線量 CT スクリーニングによる肺癌死亡率の低下
Reduced Lung-Cancer Mortality with Low-Dose Computed Tomographic Screening

The National Lung Screening Trial Research Team

背景

スクリーニング検査を用いて肺癌死亡率を低下させる取組みは,肺癌の進行の早さと不均一な性質から困難を極めてきた.低線量ヘリカルコンピュータ断層撮影(CT)の登場によって肺癌スクリーニングの状況は変わり,多くの腫瘍が早期に検出されることが研究で示されている.全米肺検診試験(NLST)は,低線量 CT を用いたスクリーニングによって肺癌死亡率が低下するかどうかを検討するために行われた.

方 法

2002 年 8 月~2004 年 4 月に,米国内の医療施設 33 ヵ所で肺癌のリスクが高い 53,454 人を登録した.参加者を,低線量 CT を撮影する群(26,722 人)と,胸部 X 線正面像を撮影する群(26,732 人)に無作為に割り付けた.スクリーニングは年 1 回とし,計 3 回行った.2009 年 12 月 31 日までに発生した肺癌症例と肺癌死亡例のデータを収集した.

結 果

スクリーニング受診率は 90%を超えた.スクリーニング検査陽性の割合は,3 回の検査を合わせて低線量 CT で 24.2%,X 線で 6.9%であった.全体で,低線量 CT 陽性例の 96.4%と X 線陽性例の 94.5%が偽陽性であった.肺癌発生率は,低線量 CT 群 100,000 人年あたり 645 例(癌 1,060 個)に対し,X 線群 100,000 人年あたり 572 例(癌 941 個)であった(率比 1.13,95%信頼区間 [CI] 1.03~1.23).肺癌死亡は,低線量 CT 群 100,000 人年あたり 247 例,X 線群 100,000 人年あたり 309 例で,低線量 CT スクリーニングによる肺癌死亡率の相対的低下は 20.0%(95% CI 6.8~26.7,P=0.004)であった.全死因死亡率は,低線量 CT 群において X 線群と比べて 6.7%(95% CI 1.2~13.6,P=0.02)低下した.

結 論

低線量 CT を用いたスクリーニングによって肺癌死亡率は低下する.(米国国立がん研究所から研究助成を受けた.National Lung Screening Trial ClinicalTrials.gov 番号:NCT00047385)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2011; 365 : 395 - 409. )