後天性再生不良性貧血に対するウマ抗胸腺細胞グロブリンとウサギ抗胸腺細胞グロブリンの比較
Horse versus Rabbit Antithymocyte Globulin in Acquired Aplastic Anemia
P. Scheinberg and Others
重症後天性再生不良性貧血において,造血障害は,免疫が関与した骨髄幹細胞と前駆細胞の破壊に起因する.抗胸腺細胞グロブリン(ATG)とシクロスポリンの併用による免疫抑制療法は,幹細胞移植に代わる有効な治療法であり,血球数と生存率を改善させる.ウマ ATG が標準製剤であるが,ウサギ ATG は末梢血リンパ球の除去能が高く,その他の臨床状況下においても選択されている.
2005 年 12 月~2010 年 7 月に,両 ATG 製剤を通常のレジメンで比較する無作為化試験を行った.治療は単一施設で行った.主要転帰は,6 ヵ月の時点での血球数に基づく血液学的奏効とした.この試験は,ウサギ ATG 群とウマ ATG 群にそれぞれ 60 例を登録するデザインであり,奏効率の 25 パーセントポイントの差を検出できる検出力を有していた.
6 ヵ月の時点での血液学的奏効率には予期せぬ大きな差が認められ,ウマ ATG 群(68%,95%信頼区間 [CI] 56~80)のほうがウサギ ATG 群(37%,95% CI 24~49)より高かった(P<0.001).3 年全生存率にも差が認められ,幹細胞移植の時点でデータを打ち切った場合の生存率は,ウマ ATG 群では 96%(95% CI 90~100)であったのに対しウサギ ATG 群では 76%(95% CI 61~95)であり(P=0.04),幹細胞移植を打ち切りとしなかった場合はそれぞれ 94%(95% CI 88~100),70%(95% CI 56~86)であった(P=0.008).
無作為化試験において,重症再生不良性貧血に対する初回治療としてのウサギ ATG は,血液学的奏効と生存率に基づくとウマ ATG より劣っていた.(米国国立衛生研究所内部研究プログラムから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00260689)