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August 18, 2011 Vol. 365 No. 7

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ピーナッツ製品に関連したネズミチフス菌感染
Salmonella Typhimurium Infections Associated with Peanut Products

E. Cavallaro and Others

背景

汚染された食品成分は多様な製品に影響を及ぼす可能性があり,いずれもさまざまな経路で流通し,多様な状況下で消費される.われわれは,2008 年 11 月から全米規模のサルモネラ症の集団発生について調査した.

方 法

2008 年 9 月 1 日~2009 年 4 月 20 日にネズミチフス菌(Salmonella Typhimurium)の集団発生株への感染が検査で確認された人を「症例」と定義した.製品の「遡及調査」と環境調査の,2 つの症例対照研究を行った.

結 果

46 の州で確認された症例 714 例のうち,166 例(23%)が入院し 9 例(1%)が死亡した.研究 1 では,ピーナッツバター(マッチさせたオッズ比 2.5,95%信頼区間 [CI] 1.3~5.3),ピーナッツバター含有製品(マッチさせたオッズ比 2.2,95% CI 1.1~4.7),冷凍鶏肉製品(マッチさせたオッズ比 4.6,95% CI 1.7~14.7)の摂食と疾患とのあいだに関連が認められた.9 つの施設に関連した限定的な集団発生と単発症例に関する調査では,すべての施設に流通していた単一の業務用ブランドのピーナッツバター(ここではブランド X と呼ぶ)が同定された.研究 2 では,ピーナッツバターの家庭外での摂食(マッチさせたオッズ比 3.9,95% CI 1.6~10.0)と,2 つのブランドのピーナッツバタークラッカーの摂食(ブランド A:マッチさせたオッズ比 17.2,95% CI 6.9~51.5,ブランド B:マッチさせたオッズ比 3.6,95% CI 1.3~9.8)と疾患とのあいだに関連が認められた.いずれのクラッカーもブランド X のピーナッツペーストから製造されていた.集団発生株は,ブランド X のピーナッツバター,ブランド A のクラッカー,その他 15 の製品から分離された.2009 年 1 月 10 日~4 月 29 日に,計 3,918 のピーナッツバター含有製品が回収された.

結 論

汚染されたピーナッツバターとピーナッツ製品により,全米規模のサルモネラ症の集団発生が起こった.成分に起因する集団発生は発見がむずかしく,多数の食品は広く汚染される可能性がある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2011; 365 : 601 - 10. )