March 21, 2013 Vol. 368 No. 12
RTS,S/AS01E の 4 年間の有効性およびマラリア曝露量との相互作用
Four-Year Efficacy of RTS,S/AS01E and Its Interaction with Malaria Exposure
A. Olotu and Others
マラリアワクチン候補である RTS,S/AS01E は第 3 相試験に入ったが,長期転帰に関するデータは限られている.
生後 5~17 ヵ月で,RTS,S/AS01E ワクチンを 3 回接種する群(223 例)と狂犬病ワクチンを 3 回接種する群(対照 224 例)のいずれかに無作為に割り付けられた小児を 4 年間追跡した.エンドポイントは臨床的マラリア(体温が 37.5℃以上で,原虫数が 2,500/mm3 を超える熱帯熱マラリア原虫 [Plasmodium falciparum] 血症)とした.各小児のマラリア曝露量は,マラリアの距離加重地域有病率を用いて推定した.
4 年間で,臨床的マラリアは RTS,S/AS01E ワクチン群の 223 例中 118 例と対照群の 224 例中 138 例で 1 件以上発生した.Cox 回帰分析により算出したワクチンの有効率は,intention-to-treat 解析では 29.9%(95%信頼区間 [CI] 10.3~45.3,P=0.005),per-protocol 解析では 32.1%(95% CI 11.6~47.8,P=0.004)であった.マラリアエピソードが複数回発生する頻度は高く,RTS,S/AS01E 群では 551 件,対照群では 618 件発生し,Cox モデルを拡張した Andersen-Gill モデルにより算出したワクチンの有効率は,intention-to-treat 解析では 16.8%(95% CI -8.6~36.3,P=0.18),per-protocol 解析では 24.3%(95% CI 1.9~41.6,P=0.04)であった.ワクチンを接種した児 100 人につき,65 件の臨床的マラリアが回避された.per-protocol 解析において,ワクチンの有効率は経時的に(P=0.004),またマラリアへの曝露量が増すにつれて(P=0.001)低下した.ワクチンの有効率は,1 年目では 43.6%(95% CI 15.5~62.3)であったが,4 年目では -0.4%(95% CI -32.1~45.3)であった.マラリア曝露指数が平均値以下であった児では,ワクチンの有効率は 45.1%(95% CI 11.3~66.0)であったが,平均値よりも高かった児では 15.9%(95% CI -11.0~36.4)であった.
RTS,S/AS01E ワクチンの 4 年間の有効性は 16.8%であった.有効性は経時的に,またマラリアへの曝露量が増すにつれて低下した.(PATH マラリアワクチンイニシアチブ,ウェルカム・トラストから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00872963)