March 21, 2013 Vol. 368 No. 12
米国の小児におけるノロウイルスと診察を要した胃腸炎
Norovirus and Medically Attended Gastroenteritis in U.S. Children
D.C. Payne and Others
ロタウイルスワクチンが導入されて以来,ロタウイルス関連急性胃腸炎の症例は減少しているが,小児におけるノロウイルス関連急性胃腸炎の負担は評価する必要がある.
病院,救急部,外来診療施設において,急性胃腸炎を呈する 5 歳未満児の,臨床検査で確認されたノロウイルス症例について能動的サーベイランスを行った.小児は,2009 年と 2010 年に米国の 3 郡のいずれかに在住していた.便検体を用いてノロウイルスとロタウイルスを検査した.ノロウイルス関連急性胃腸炎の人口ベースの発生率を算出し,医療費を明らかにするために請求記録を再検討した.そのデータを,米国の 5 歳未満児の集団に外挿した.
ノロウイルスは,2009 年と 2010 年に急性胃腸炎で診察を要した幼児の 21%(1,295 例中 278 例)で検出され,内訳は 2009 年には 22%(742 例中 165 例),2010 年には 20%(553 例中 113 例)であった(P=0.43).2009 年には健常対照の 4%(493 例中 19 例)でも検出された.2009 年と 2010 年には,急性胃腸炎の小児の 12%(1,295 例中 152 例)でロタウイルスが同定された.ノロウイルスによる入院率,救急部受診率,外来受診率は,2009 年には 5 歳未満児 10,000 人あたりそれぞれ 8.6,146.7,367.7,2010 年にはそれぞれ 5.8,134.3,260.1 であり,2009 年の 1 件あたりの推定医療費はそれぞれ 3,918 米ドル,435 米ドル,151 米ドルであった.全米規模での推定では,2009 年と 2010 年における米国のこの年齢層の小児でのノロウイルス感染による入院数,救急部受診数,外来受診数は,年間平均でそれぞれ 14,000,281,000,627,000 を超えており,各年の治療費は 2 億 7,300 万米ドルを上回っていた.
ロタウイルスワクチンが導入されて以来,ノロウイルスは,米国の小児において診察を要した急性胃腸炎の主要な原因となり,年間約 100 万件の医療機関受診と関連している.(米国疾病対策予防センターから研究助成を受けた.)